96 / 132

第80話

 しばらくして夕食の準備をし始めたお母さんを横目に、俺たちはクッキーと紅茶をつまみながら談笑していた。アキヤくんは大人びた見た目に反し、まだ高校生らしく可愛らしい中身とのギャップに俺は心を掴まれた。弟みたいに可愛がってあげたくなる。  「ただいま!」  「こらっアヤ、アミ、まず手を洗いなさい!」  すっかり打ち解けてみんなでバラエティ番組を眺めていると、玄関が空いて3人の声が聞こえた。  お父さんと妹さん2人かな?  「あ!知らないお兄ちゃんがいるー!」  「ホントだ!パパーかっこいいお兄ちゃんがいるよぉ!」  「ああ、お前達の新しい兄ちゃんだ、仲良くするんだぞ。」  ドタバタと入ってきた女の子2人は、まるで双子のようにお揃いの服を着ていて、手を繋いで俺を指差していた。  後から遅れて入ってきたお父さんは、俺の顔を見るなりニッコリ微笑んだ。  「お兄ちゃんお名前は?」  「タカ兄とアキ兄よりカッコイイねぇ〜!」  来た時にお母さんが俺の名前を知っていたから、そうなのかなと思ったけど、やっぱり隆明さん、事前に俺のことを2人に言ってくれてたんだ……  妹さんに両手を引っ張られながら、またも心が暖かくてなるのを感じた。  早く帰って、隆明さんと二人きりになりたいなぁ。

ともだちにシェアしよう!