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第84話

 「ハイハイ。太一くんかなり酔ってるね。水飲んでごらん。」  「酔ってないですよぉー」  「酔っ払いはそう言うものなんです。」  「うー、たかあきさん…だいすきです。」  「ほら、酔ってる。普段はこんなに素直に言ってくれないのにね。」  俺の分の水を持ってきてくれた隆明さん。ベッドに腰掛けさらりと頭を撫でてくれた。それだけで胸が一杯に満たされて、なんだか甘えたくなった。目の前にある隆明さんの腰に腕を回し、腰辺りに顔を押し付けた。  好きで好きでたまらなくて、胸がいっぱいいっぱいで苦しいの。こんなの隆明さんにだけなんだから。  「そうだ、キミ、俺とした約束は覚えているかな?」  「約束…?」  「しただろう?何かあればすぐに言う事。言わなければお仕置きだよ、って。」  「んー、何にもないですよ?」  隆明さんとキチンとお付き合いをする事になった日、2人の間で少しの決め事を作ったんだ。  言いたい事…不安や不満、嬉しいだとか楽しいだとか、好き、だとか……すれ違いをなくす為に、思った事、言いたい事はキチンとお互いに言い合おう、って。  もし言わずにすれ違いがあった時は、お仕置きをするよ、とも言われていた。冗談だと思ってたんだけど…  「太一くんは俺とアキが一緒に居たのを見たって、昨日言ってくれなかったね。」  「そんなの、簡単に言えるわけありませんよ…あれって浮気なの?って……」  「じゃあ、お仕置きしようか。」  「なに、するんですか……?」  「そうだなぁ。」  少し楽しそうにも見える隆明さんは、一度ベッドから立ち上がってチャチャのペットシーツを手に戻ってきた。それを寝具の上に何枚か敷いて、改めて俺に向き直った。  「これでお漏らししても問題ないね。じゃあ、脱ごうか。」  「……ん?お漏らし…?」  なんだかとんでもない事になりそうです。

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