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第96話
「さて、そろそろお昼を食べに行こうか。午後はパンフレットを見ながら観光するところを決めよう。とんぼ玉体験や湯もみ体験もあるみたいだよ。」
「はいっ!あ、俺暖かい物が食べたいですっ。」
「そうだね、寒いから、蕎麦とか?」
「ですね!」
財布と携帯だけを持って、身支度を整える。先に靴を履いている隆明さんの所へ行くと、壁に埋め込まれた姿見に自分の姿がうつる。
黒のタートルネックにノンウォッシュのスキニーデニム、キャメルのロングコートに白のスヌード。シューズへのこだわりは強いが、ファッションブランドに関してはからきしな俺は、気に入ったアイテム以外は全てファストファッションで揃えていた。
いくら髪をセットしているからと言って、色使いやアイテム選びから滲み出る雰囲気は、きっと俺の童顔では大学生くらいに見えるんじゃないだろうか。
それに対して、隆明さんはぴしっとしたマッキントッシュのコットンシャツにメリノウールのカーディガン、バーバリーのボマージャケットにヴァレンティノのクラッチ。
シックなトーンで揃えられたファッションはシンプルではあるけれど、一つ一つのアイテムがブランド品だからか、上品で凄くカッコイイ大人な男性に見える。
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