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第102話

 「露天風呂だ〜!」  「そうだよ。ほら、寒いし風邪引くから早くお湯に浸かろう。」  客室に備え付けのお風呂の先、磨りガラスのドアを開けると冷たい空気が肌を刺す。けれど、寒さなんか気にならない程キラキラ輝く水面に目を奪われた。高い塀に囲まれた向こう側には山や観光街の建物なんかが見える。  ドラマなんかで見る露天風呂よりもすっごく綺麗で輝いてる。露天風呂って…スゴイ……。  「はぁ……俺、家に露天風呂が欲しいです……」  「んー、出来なくはないけど、住宅街に露天風呂を作っても、ここまで気持ち良くはならないよ。景色や空気感込の露天風呂だからね。」  「出来なくはないんですね…なんかそれもスゴイ……」  「はは、太一くんさっきから感動しっぱなしだね。」  二人部屋なのに5、6人は入れるんじゃないかって広さで、二人してぴったりくっついて座っている。お湯の中で手を繋いで、塀の向こうから聞こえる喧騒や鳥の囀を聞く。  「俺、隆明さんと出会ってから、ずっと感動してます。こんなにも好きな人と一緒に居られて、同じように好きを返してくれて。感動です。」  「可愛い事を言ってくれるね。今日は我慢しようと思っていたけど、誘っているのか?」  「誘っては……ないですけど、」  隆明さんの見る目が柔らかくて甘くて、ああ、たまらない。好きってスゴイ。こんなにも胸がときめいて、どんどん好きが溢れてくるんだ。底なんて見えてこないくらいに。

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