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第106話

 「なんだそれ……」  「…ごめん、」  「オレたちバカ見てぇだな。俺、ずっと太一が好きだった。愛してた。希望のない想いを抱えるのが苦しくて結婚に逃げたけど、今でも……」  「え……え??マサ?」  そっと手を握られて、至近距離で囁くように言われる。パニックでその言葉の意味をあまり理解出来ていない。  すき?あいしてた?なんだっけ、それ……、  「高校の時に告白しておけば良かったな。もう、遅いか……?」  「えっと……遅い、って言うか…、俺、今はあの人の事が好きで……」  「もう俺の事は好きじゃない?」  「やめ、お前はマナちゃんがいるだろ……」  頬へ手を滑らせ、まるで愛しい者に触れるようにされて、顔を背けるとやっと握られていた手を離してくれた。  なんだこの展開。こんな誰も喜ばない展開、求めてないから……。

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