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第107話

 「マナはお前の代わりだよ。知らないだろうけど、アイツお前に似てるとこがあんだ。アイツの中にお前の影が見える度に愛しく思えた。」  「意味わかんないよ、マナちゃん大事にしてやれよ、代わりって…なんだよそれ……、」  先程まであんなに苦しそうな顔をしていたのに、今はもう何でもない事のような表情で言うマサ。その口から放たれる全てが衝撃で、まだ俺の頭の中は整理しきれてない。  「他の子よりはちゃんと愛してたよ。でも、お前が俺の事を好きだったなんて知ったら……俺も好きなんだ、アイツと別れて付き合おう。」  「や、だからそれは過去の話で……」  「まだ好きだろう?アイツより大事にするし愛してやれる。お前のことはなんでも知っている自信がある。」  「やめろよ、俺はそんな話をしに来たんじゃないっ、」  きっともう友人ではいられないと言われるんだと覚悟していた。あわよくばそんな事は気にしないと言ってくれないかなと少しの期待もあった。  まさか、こんな事になるなんて……  「俺は、隆明さんが好きなんだ。もう、マサは過去の事だってきちんと吹っ切れてる。ごめん……」  「はは、なにこれ、俺フラれてんの?」  「ごめん……、」  「あーあ、ほんと、選ばなかった道ばっかりが綺麗なんだ。悔しいな、ほんと……」  力なく座り込んだマサに、俺は掛ける言葉が見つからなかった。お互いに秘密にしていた事が、あまりにも大きすぎたのかもしれない。

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