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第108話

 「なぁ、もし俺が結婚じゃなくて、太一を選んでたら、太一は俺と付き合ってくれた?」  「……ん、もしマサが結婚してなくて、隆明さんとも出会ってなかったら…、でも、今の俺がマサのことを好きだったのは、もう過去の思い出、だから……」  「相変わらず辛辣だな。」  どれくらいの沈黙があったか。すぐそばの商店街に人が集まってきた頃、マサが口を開いた。二人してベンチにも座らず、片方は座り込んで片方は棒立ちって言う、如何にも不穏な雰囲気にこの公園へ立ち寄る人は少ない。  「俺、マサに告白しなかった事に後悔はしてないし、今隆明さんに出会えて、良かったし、幸せだな、って……思ってる、から…」  「……惚気か」  「正直、マサとマナちゃんはお似合いだと思うし、幸せになって欲しいって思ってた。今だってそう思ってる。勢いであんな事言ってしまって、二人が拗れるとか嫌だから……」  近くでずっと見ていたからわかる。少なくとも、女の子らしくて守りたいと思わせるマナちゃんの事、マサは好きだと思っているだろうし、他の子とは違うから結婚に踏み切ったんだと思う。マナちゃんに俺の影を探してたなんて、俺への皮肉なんじゃないだろうか。

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