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第112話
「はぁ、場合によっては怒る内容だとか言うし、実は両思いだったとか言うし……別れ話されてるのかと思ったよ……、」
「違いますっ!俺っ」
「うん、今心から安心して、言葉が出ないだけだから、大丈夫……。」
「……ん、」
切なげにぎゅうっと腕に力が籠ると、隆明さんは俺の首元にキスを落とし始めた。それはいやらしさなんか全く含んでいなくて、まるで縋るように甘えているみたい。
「隆明さん、すきです。かっこよくて、料理も出来て、チャチャにデレデレなところも、急に甘えタイムに入るところも。」
「後半ちょっと馬鹿にしてない?」
「ふふ、してないです。俺の事が大好きなところも、大好きです。多分、隆明さんと別れる時って、死ぬ時だろうなって思うくらい、離れるなんて考えられないです。」
「じゃあ、死ぬ時は一緒に天国に行こうか。」
「へへ、プロポーズみたい。」
死ぬ時まで一緒に、ってクリスマスイヴに言って貰えて、男女ならきっと結婚しようの合図なんだろうなぁ。
って、オレたちには無縁な未来に思いを馳せていたら、隆明さんが突然俺の手を引いて広縁の椅子に座らせた。近くの乱雑に置いていた荷物から綺麗にラッピングされた四角い箱を取り出して、今度は椅子に座る俺の前に跪く。
「初めはこんなに可愛くて一途な子が居るんだ、って興味からだった。けど、段々その一途な目を俺に向けて欲しくなって躍起になってた。」
「…へ?隆明さん?」
「今では太一くんが家にいると思えば帰るのが楽しみになるし、太一くんの笑顔が見たくて料理をするのも普段より数倍楽しい。たまらなく愛してる。これからもずっと、一緒に居てくれませんか。」
「え…?あ、クリスマスプレゼント、ですか?えへへ、なんか、本当のプロポーズみたいで、涙が……っ、」
「開けてみて。」
「う、はい……」
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