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Angel
浅倉から受けた説明はこうだ。
一応天使として生を与えられてはいるものの人としては生きられない上に、矢月祐也は既に亡くなった存在なためこれからは時川颯真を名乗ること。
天使としての仕事は基本夕方6時から10時までを担当する。
その他の時間帯は他の天使の役目だそう。
それ以外の時間は人としての時間を過ごして良いそうだ。
「学校に行きたいのでしたらこちらで手配できますよ?」
「いや、学校はもういいや……」
酷いイジメにあってもう懲り懲りだ。
「まぁ、天使の仕事以外は自由ですのでバイトするのもよし、家でボーッとするのもよし。
ですが、必要以上に人に深く関わらないように!!
身の程はちゃんと弁えて下さいね。
我々は人とは違う理に生きているのですから。」
「………分かりました。」
説明を一通り受け時間になればまた迎えに来ると言う。
それまでは好きにしていいと言うが、今まで自由と言うものは無かったからどう過ごせば良いのか分からない。
取り合えず外に出てみようと思った。
あまり外には縁が無かった。
帰りが遅くなれば父がヒステリックになるし、それに遊びに行くような友達もいなかった。
だから外で遊ぶのが憧れでもあった。
颯真はそっとドアを開けてみた。
空は真っ青でいつも見ていた筈なのにどうしてかキラキラと輝いていた。
ああ、違う………
いつも下ばかり見ていたから気がつかなかっただけだ。
「あれ、ここ引っ越してきたの?」
「!?」
突然声をかけられ見てみると一人の男性が隣の部屋の前に立っていた。
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