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Angel ー3ー
それから笠原とは別れ颯真は外へとやって来た。
ここは閑静な住宅街で近くにはこじんまりとした公園がある。
まぁ、騒がしいのは好かないから丁度いい。
一頻り歩いて公園に立ち寄りベンチに座り空を見る。
こんな風に"上"を見ることは無かった。
ずっと目立たないようにと下ばかり見ていたからこんなにも美しいものだと初めて知った。
どのくらい経っただろうか。
颯真はその場を離れ家に戻った。
必要最小限の部屋。
取り合えずすることもないのでテレビをつけた。
「あっ………」
テレビをつけるとニュースが流れていてそこには自分の写真が映し出されていた。
そして自分の父の姿だ。
『……容疑者は祐也君の父親で暴行の末亡くなったと言うことで…………』
颯真の死は事件としてテレビで取り上げられていた。
日常的な虐待、周りは知らなかったと驚くような様子で語っている。
しかも学校の同級生、凄く悲しいなんて白々しく言っているがこいつ自分をいじめていた主犯ではないか。
顔は映してはいないもののこの声はよく知っているからすぐに分かった。
ああ、なんでまたこの世界に来てしまったんだろう。
嫌なことなど忘れてあの世で静かに暮らしたかったのに。
本当、神様なんて名ばかりのイジメっ子じゃないか。
そして夕方になり浅倉が迎えに来た。
「どうも颯真君、何してました?」
「別に何も………」
「何も?」
「ただ適当に外を散歩とかテレビとか……
ああ、テレビに僕の事件が出てました。」
「ああ、それですか。
まぁ君はもう死んでますし名前も別のものなので矢月祐也とは誰も思いませんしただのそっくりさんで終わると思うので大丈夫ですよ。」
別に知り合いなんてあまりいないし誰も自分に
関心があるとは思わないからそんなことはどうでもいい。
「もう、この世界に居たく無いんですけど。
なんで天帝は僕を天使なんかに……」
「さぁ?あの方の思考など我々一般人には分かりません。
でも、あの方なりに色々考えているんでしょう
私には分かりませんがね。」
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