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Angel ー5ー

二人は今に消えそうな老婆とその家族を見つめる。 「お母さん。」 「お祖母ちゃん。」 家族の必至な呼びかけも空しく老婆は息を引き取った。 そしてその肉体からすぅっと魂が抜け二人の前に生前と同じ姿を現した。 「ご愁傷さまでございます。 私、お亡くなりになった方々を天へと導く天使をしております。 ここに未練はございませんか?」 「ええ、もう十分よ。 子供にも、孫にも、ひ孫にも恵まれた、幸せよ 旦那には少し不満はあったけれどそれも人生。 楽しませてもらったわ。 さ、5年前に先に逝った旦那が待ってるわ。」 「そうですか。 では、こちらへ……」 そう言って浅倉は彼女を光へと導き彼女は天へと召された。 満ち足りた表情で……… 「さて、最初の仕事が終わりました。 ですが、まだまだこれからです。 続いて高里詩織さん24歳。」 そして次も病院だ。 「未練はございませんか?」 「うん、大丈夫。 あ、でも少し待って。」 そう言うと彼女は自分を看取った夫の背中にそっと抱き着いた。 「癌に侵された私にプロポーズしてくれた。 お嫁さんになるのが夢だったから本当に嬉しかったわ。 でももういいの、今度は丈夫なお嫁さん貰ってね。 ありがとう、幸せだった。」 涙を流しながらメッセージを伝えた彼女はそっと彼から離れ天へと旅立った。 その後もこんな感じで次々と死者とあの世を繋いでいった。 「我々の仕事はあの世への扉を開き、亡くなった魂を天へと送り届けることです。」 浅倉は扉を見つめながらそう言った。

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