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Person ー6ー

久々に夢を見た。 昔の夢。 小学生の頃だったろうか。 父に暴力を振るわれ傷だらけになった自分に母はただごめんねと泣きじゃくる。 いつもそうだった。 暴力を振るわれているとき母はただ目を反らして震えているだけ。 何度手を伸ばしても手を差し伸べてくれることは無かった。 そして父が去った後に駆け寄ってくる。 だからいつしか諦めるようになった。 母はこう言う人なのだと_____ 目が覚めると外は大分陽が傾いていた。 時計は午後4時を指しているから結構長く眠ってしまったようだ。 天使になってからそうだ。 もしかして今までは父が怖くて少しの物音でも 目が覚めてしまっていたから、その心配が無くなって安心してしまっているからだろうか? それから颯真はボーッと仕事の時間まで過ごしていた。 そして6時前になり浅倉が颯真の家にやって来た。 「こんばんは。 どうですか新しい生活は?」 「別に……」 「そうですか。 ところで夕飯は食べましたか?」 「いや……… 別に食べなくても問題は無いし。」 正直食事をするのも面倒だ。 「まぁそうなんですけどね。 それでも腹は減るでしょう? お昼は食べましたか?」 「はい、隣の部屋の人が一緒に食べようって…… なんで無愛想な僕なんか誘ったのか理解出来ませんが。」 「ははっ、それは庇護欲を煽るからでは? こんな可愛らしい顔しているのですからね。 ですが、必要以上に人と関わるのはおすすめはしませんね。」 「分かってます。」 浅倉はそれならいいんですけどと釘を刺すように。

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