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Person ー8ー
何これ……
女性をナンパするような浅倉を見て呆然と立ち尽くす颯真。
天使とは天へと死者を送るだけの仕事と思っていたがまさかあれを自分にもやれというのだろうか?
「やっぱこの仕事降りたい。」
本気でそう思った。
イケメンモードの浅倉に女性は頬を染めまるで今までの事など忘れたかのように穏やかになる彼女に浅倉は畳み掛ける。
「あんなクソ男なんてクソ女にくれてやればいいじゃないですか。
だって二人ともクソな低レベルの人間なんですから。
貴女には相応しくありません。
他にいい男が天界に沢山いますよ?
若くして病で亡くなったイケメンモデルさんとか。」
「逝きます!!
私、もうあんな男捨てます。
もう、いいです。」
「そうですか。
では、こちらへお嬢様。」
あっという間に彼女の心を変えた浅倉はあの世への扉を開き天へと導いた。
「少々手こずりましたが何とかなりましたね。」
「あの、まさかあんな事までやらないといけないんですか?」
「………あれくらいで済めば随分楽ですよ?
人の心なんて三者三様ですからね。
面倒だって顔してますよ?君……
でもね、だからこそやらなければいけないんですよ。
人が人である限り救われなければならない……
天帝が何故君を天使にしたのかは分かりません。
ですがね颯真君、全ては"必然"です。」
「浅倉さん………」
正直面倒だ。
降りたいと今も思ってる。
けれど天帝がそうしたのなら従うしかないのかなと諦めることにした。
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