スッと消えたその人物に驚いていると 突然ドシャッと半透明の男が落ちてきた 間違いないさっき見た人だ 半透明の体だが死んでいるように見えた すると再び消えてしまうとまた上から落ちてきた ｢どうしたの？急に走り出して｣ しかもこれは笠原には見えていないようだ ｢いえ、勘違いでしたすみません………｣ この恐ろしい現象はきっと関わってはいけないものだと思いすぐにこの場を離れた そして家に帰り浅倉がやってくると颯真は 先ほどの光景を話した ｢ああ、それは自殺者ですね｣ ｢自殺者？｣ ｢はい、自殺した者は死んでもなお死に囚われる 死んでも天へはいけないのですよ｣ ｢天に行けない？｣ ｢ええ、自殺した者はどんな理由があろうとも 死を選んだことに対しての執着がすごい ですから死してなお何度も何度も同じ自殺を繰り返すのです｣ 何度も自殺を繰り返す……… それを聞いてゾッとした だってそれって楽になりたくて死を選んだのに ずっと解放されず苦しいままじゃないかと思ったから ｢僕たちは何も出来ないんですか？｣ ｢無理ですね あれは我々の言葉など耳に入りませんから……… もし君も自ら死を選んでいたのなら彼らと同じになっていたでしょう なのでどんなに辛かろうが自殺なんて選んではいけないのです｣