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Co-worker ー6ー
蓮は颯真に近づいてくると彼の頬を両手で包み込んだ
「人酔いしちゃった?
騒がしいもんね」
「え?ああ……すこしだけ………
でも大丈夫です、皆さん待ってると思うので
戻ります」
早く戻らないととトイレを出ようとするも
蓮は離してはくれない
真っ直ぐに見つめてくるその目は
何か全てを見透かされてそうで怖い
「あの………」
「もう少しここに居ればいいよ
みんな君のことは分かってくれるから
大丈夫」
「あ………」
蓮は颯真の頭を引き寄せ頭を抱き締める
突然の事で驚いたが何だか心地よかった
最初変な人だと関わりたくなかったのだが
よく分からなくなってきた
「君、人が怖いでしょ?
そう言うのよく分かる
まぁ、あの三人は怖い人じゃないから大丈夫」
「あの……蓮…さん……?」
抱き締められていた颯真は顔を上げ
蓮を見ると彼はにっこりと微笑んだ
そしてそっと颯真の額にキスをした
「おでことかほっぺならキスしていいよね?
僕ね、この世界が大嫌いだった」
「え?」
蓮は颯真から少し離れ背を向けるとトイレのドアを開ける
そして顔を颯真に向けこう言った
「でも、今は好き
楽しい!!」
そうキラキラした笑顔で言った
この時は彼がこの世界を好きだと言った意味は分からなかった
でも、その言葉の意味が分かったとき
天がこの世に遣わした理由も分かるような気がするのだった
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