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第129話

「すみません、請福酒造の泡盛月虹を2本下さい。お土産用に1本ずつお願いします」 ミキの声を聞き、どうせ帰るだけだとゆっくり出発しようと午後の便にして良かった。 空港でお土産を買うのに夢中になっているミキ。 「何で、同じ酒2本?」 「地元で有名な酒造屋さんの泡盛らしいんです。1本はマコと祐さん達に、もう1本は家に」 ミキが自然に家と言うのは、たぶん俺達の事だろうと思うと顔が緩む。 「石垣島でワインと地ビ-ルは呑んだけど、泡盛呑んで無かったなと思って、それで買って伊織さんとこの石垣島の事思い出しながら、少しずつ2人で飲むのもいいなぁと思って」 「言われてみれば、呑んで無かったな。そうやって呑むのもいいな」 ほんと可愛い事をする。 ミキは出会った時から無自覚に可愛い事をするのは変わらない。 それにいつも俺はやられてしまう、そんな事を考えてる俺の事はほっといて、まだお土産選びに夢中だ。 俺も近くを見て回り「これ、いいな」 青と赤の琉球グラスを2つ購入した。 ミキが買った泡盛を飲む時に使おうと思った。 「ミキ、そろそろ時間だぞ」 「はい、もう決まりました。会計して来ますね」 会計に向かう後ろ姿を見て、ミキの事だから色々迷いながらもその人の事を考えて、お土産選んだんだろう?ほんと外見に似合わず内面が可愛すぎだ。 楽しかった石垣島を飛行機の中から見て 「凄く楽しかったですね。見て、空の上から見てもやっぱり海が綺麗」 窓側のミキに近寄り外を眺め 「ほんとだな。実際も綺麗だったが上から見ると全体が見渡せて絶景だな」 ミキはずっと窓から景色を眺めている。 その横でほんとに楽しかったと俺も思っていた。 変な虫も1匹居たが、それとなく退治してやったし、ミキは気が付いて無いが外食した時やお土産屋を物色してる時も、それらしい男も女も何人かいたようだったが、俺が威嚇していたから近寄って来なかった。 これからも、アンテナ張ってミキの知らない所で退治していかないとな。 モテる恋人を持つと大変だが、本人は無自覚の天然だこれもミキの恋人の役目だろう。 ミキを失う事に比べれば、そんな事は些細な事だ。 絶対、他の奴には渡さないと飛行機の座席で、こっそり手を繋いだ。 途中で夕飯を食べ、マンションに帰ろうとした時だった。 「伊織さん、疲れたでしょ?今日は帰ります」 「どうしてだ?俺はミキと一緒に帰るつもりだが、嫌じゃ無ければ来い」 「嫌ではありません。ただ、疲れただろうから1人の方がいいのかなって。洗濯も有りますし」 「そんな事か。洗濯なら俺のマンションですれば良いし、夏休み中はずっと俺は離さないつもりだ。それに1人よりミキと一緒の方が、疲れが取れるし癒される」 「じゃあ、迷惑じゃ無ければ……俺も一緒に居たいし」 頬を染め俺を気遣い言ったようだ、そんなミキがほんとに可愛い過ぎだ。

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