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第133話
「はい、これ伊織さんと俺から。石垣島旅行のお土産」
真琴君にミンサ-柄の革のブレスレット.焦げ茶と薄茶のペアを渡すと
「わっ、嬉しい。ありがとうミキ.成宮さん。祐さんとお揃いなんて嬉しい。ずっとなんかペアで欲しかったから、それにカッコいい」
真琴君が嬉しそうにしているのを祐一は微笑んで見ている。
その目が俺を見て、お前が土産なんて買ってくる訳無いよなって目で訴えてる。
それに対し俺は素知らぬ顔をする。
俺が祐一に旅行に行ったからって土産を買うわけが無い、祐一もそれは解ってる。
ミキが俺と2人からって渡してるのも解ってるんだろう
ミキのこういう俺を立てる気遣いに、いつも感激する
たくさん有るミキの好きな所の1つだ。
まだ、土産は続いてるらしい。
次は泡盛の月虹と黒糖入チョコレートを渡している。
泡盛には祐一も反応して、ラベルの裏やボトルを見ている職業柄気になったようだ。
その横でミキと真琴君はキャッキャッとお土産の事で盛り上がっていた。
まるで女子高生かって感じだ。
「祐さん、ブレスレット焦げ茶と薄茶どっちがいい?」
真琴君が両手に持って祐一に見せると黙って薄茶を持つ。
俺としてはイメ-ジ的に焦げ茶は祐一で薄茶は真琴君だと思ったが趣味変わったのか?と考えてると祐一は持っていた薄茶を真琴君の手首に黙って着けて遣り、自分の手首に焦げ茶を着ける。
その行動に真琴君は感激し「祐さん、ありがと」目をウルウルして言っていた。
祐一の行動に何カッコつけてんだよ、このむっつりスケベって目で訴えた。
俺の視線を感じて祐一は素知らぬ顔をしてる。
「マコ、良かったね。祐さんカッコいい」
祐一を褒めてミキが言うからムッとして
「祐一、酒出ないの?」
「ああ、悪い。今、作るから待ってろ」
真琴君の手首のブレスレットにキスし、頭を撫で酒作りに入った。
真琴君はボ-とし、ミキは祐一の行動に対して「祐さん、カッコいい」ってまた言う。
あのやろう、俺達が買ってきた土産で何キザな事してんだよとミキが祐一の事カッコいいって言う度にムカムカする。
そう言えば、あいつは普段は寡黙な癖にこう言う時には、ほんと要領が良い奴だったと学生時代の懐かしさを感じた。
酒を呑みながら、シュノ-ケル.海の中.星空.海の幸と旅行話に花が咲く。
ミキは楽しそうに話、真琴君は「いいなぁ」「それで、それで」と相槌を打ち久しぶりの再会を楽しんでいた。
それから9月に行く予定のデイズ二-の話を詰め祐一が俺のマンションに迎えに来ると言うからその代わり昼飯代は俺が払う事で話は決まった。
開店時間になり客がバラバラと来始めた。
「ミキ、これだけ呑んだら帰ろう」
「はい」
ミキの返事に気を良くしてたが真琴君が「寂しいよぉ」「ミキだけ置いてって」言い出し、ミキも困ってたが「マコ、ディズ二-楽しみにしてるからね」宥めてどうにか帰れそうだ、後は祐一に任せよう。
それから30分程で‘R’moneを出てタクシーで俺のマンションに帰宅した。
ミキとの初めての夏休みをこうして楽しく過ごした。
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