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第136話
佐藤さんが言う2次会の店まで皆んなでタクシ-で行った。
「運転手さん、ここで良いです」
佐藤さんが運転手に言い止めると伊織さんが支払いを済ませ降りる。
「課長、すいません。ありがとございます」
「まあ、良い。で、どこだ?店は?」
「ここです。夏休み地元帰った時に同級生何人かと飲んだんですが、その中にキャバ嬢やってる子がいて、名刺渡されて今度遊び来てねって言われてて」
えへへって笑って話すがキャバクラとは思わなかった。
「キャバクラか?」
「ま、課長、ここまで来たんですから佐藤の顔を立ててあげましょうよ。頑張ってたんだし」
田口さんが珍しく佐藤さんの肩を持つ。
「俺、キャバクラ来た事無いんですが」
「「「えっ」」」
3人に顔を見られ、そんなに珍しい事なのか?
「今まで誘われた事も無いですし、行く機会も無かったので」言い訳がましく話す。
「じゃあ、この機会に体験した方が良いぞ。これから接待とか友達と行く機会があるかも知れないからな」
佐藤さんに言われ、それもそうかと思って
「解りました」
返事をすると伊織さんが
「香坂、無理する事は無いんだぞ。そうそう接待で今時、キャバクラってのも無いからな」
「まあまあ、課長、いいじゃ無いですか?何事も経験ですよ。それにしても1回も来た事が無いってのも本当に珍しい、1度位友達とかと興味本位で来るんだけどなま、香坂じゃあな」
田口さんが言う俺とは?どんな風に思ってるんだろう
「じゃあ、香坂の初体験と行きましょうか」
「佐藤、妙にヤラシイ言い方するな」
「課長、本当の事なんですから、目くじら立てないで下さいよぉ」
「店の前でいるのも何ですから入りましょう」
「田口、今日はなぜ?そんなに羽目外してるんだ?」
「ここ最近忙しいのもあったんで、気晴らししたいのと彼女には会社の飲み会って言ってるんで心置き無く遊べるかなって、こんなチャンス中々無いもんで」
田口の意見も解る、確かに忙しくさせていたのは俺だからな、強くは言えない。
「そうか。まあ、息抜きも必要だからな」
「課長、田口さん入りますよ」
そんな感じで雑居ビルの2階にあるキャバクラに入店した。
「「いらしゃいませぇ~」」
「綾ちゃん、居る?」
「いますよぉ~。綾ちゃん、ご指名よぉ~」
「は~い。わぁ、佐藤君、来てくれたの。綾、嬉しい」
「前に約束したからね。今日は会社の人も連れて来たから、宜しくね」
「嬉しい。サ-ビスしちゃう」
俺達は席に着き、取り敢えずビ-ルを頼み店内を見回す
店内は薄暗く客席は5位でカウンタ-がある、こじんまりした店だ。
俺達の他には学生風とサラリ-マンが2組位いたが、金曜日でこの時間で埋まって無いと言う事はあまり上手くいって無いのかもな。
そんな風に観察していると高い声が近くから聞こえた
「美優で~す。隣、良いですかぁ。うわぁ、カッコいい。めっちゃタイプぅ」
間延びした頭の悪そうな話し方をする若いキャバ嬢の美優が俺の隣に座り腕を組んできた。
佐藤の横はさっきの綾とか言うキャバ嬢で、田口は可愛い系の知里と言うキャバ嬢が座った。
コの字のソファで俺は右端で香坂は左端で離れいた、その間に田口と佐藤が座っていた。
香坂をチラッと見ると物珍しいのかキョロキョロして、隣のお姉さん系の胸の開いたドレスを着た百合というキャバ嬢に「初めて?」と聞かれていたようだった。
初めてだと答えたんだと思う、席が遠く気配でそう思った。
百合が「可愛い。可愛い。今時珍しいわ、初(うぶ)なのねぇ」
頭を撫でていた。
その光景にムッとする。
まだ、キャバクラに来たばかりだ、これから苦痛の時間が始まると思うとゲンナリする。
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