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第144話
「ミキが居るのに行く訳無いだろう」
*♪それは俺には解らないです*♪
まだ、口を効かずLINEするミキのスマホを取り上げる。
「ミキ、頼む。口を効いてくれ。話がしたい。声が聞きたい。ミキと話しが出来ない事とミキの姿が見え無い事が俺には1番堪える。頼む」
「………。」
黙りか、これは治らないな。
根気強くいくか。
俺が腹を立てて、こんな下らない事で喧嘩になっても馬鹿らしい。
「本当に捨てるのを忘れてただけだ。本当だ。ミキを追いかけて部屋に連れてくる事で精一杯で、そんな事忘れてたんだ。ミキの事しか考えられなかった。そこまで頭がまわら無かった。ミキに嫌な思い、昨日からさせてるのに、また…すまん。俺が悪い」
「………。」
こんなに言ってもダメか。まだだ。
「ミキ、言い訳に聞こえるかも知れないが、本当の事だ。昨日、俺がどれだけミキを大切に想ってるか愛してるか解らせたはず。俺の気持ちが届かなかったか?」
「……伊織さん」
やっと口を効いてくれた、それも俺の名を呼んだ事にほっとした。
「ん…言いたい事あったら言え。何でも聞く」
「伊織さん、ごめんなさい。伊織さんの気持ちは解ってるのに、また、妬きもち妬いて。俺の態度凄く悪かったのに、怒りもせずに。伊織さんがそんな事する訳無いって思ってるのにぃ」
ポロポロ泣き出し、ごめんなさい.ごめんなさいと謝る。
側に寄り頭をぽんぽんして
「ミキ、泣くな。ミキは悪く無い。俺が迂闊だったんだ。ミキに嫌な思いさせた俺が悪い」
俺に抱き着きワンワン泣き出し
「ごめん、ごめんなさい。伊織さんが好き過ぎて妬きもち妬きになる俺、ウザく無い?」
嬉しい言葉に頬を緩め
「馬鹿だなぁ。妬きもちは俺の方が凄いぞ。ミキの100倍は妬く。ミキが魅力的で俺はいつもアンテナ張って牽制しまくりだ」
泣き笑いで
「伊織さん、それを言うなら俺の方が大変です。モテる彼氏で………。でも、ありがと。俺の気持ちを楽にさせようと冗談で慰めてくれて」
ここまで言っても自分を過小評価するミキに呆れながら苦笑して小声で呟く。
「ま、いい。それもミキの魅力だな」
「何?」
「いや、もう、仲直りのキスとおはようのキスさせろ」
言うとミキから軽めのキスをチュっとされた。
ミキからのキスは嬉しいが仲直りもあるから俺から濃厚なキスでお返しする。
咥内を堪能して唇を離し額を合わせ目を見詰め
「ミキ、これからも色々ある。直ぐには無理かも知れないが言いたい事、嫌な事があったら俺に何でも言ってくれ。そんな事で俺はミキの事は絶対嫌いにならないしミキを受け止めるだけの器を持っていたい。2人でその度に解決して行こう」
「はい。俺、自分でも直ぐ1人で悩んでしまう所あるのは解ってるんですけど、ずっと1人だったからその癖が抜けなくって。成るべく努力します」
その言葉を聞いて事故で家族を亡くしてからずっと1人で耐えてきたんだなと改めて感じた。
「前も言ったがこれからは1人じゃない。俺がいる。彼氏であり家族だ。奥さん、悩み事は旦那に何でも話せ」
「はい、努力します。旦那様」
泣き笑いで話し、俺の胸でワンワン泣き出した。
抱きしめ頭を撫でてると泣き疲れて俺の胸で眠ってしまった。
その涙に濡れた泣き顔を見て、絶対に何があっても離さない.1人にはしないと誓った。
愛しさがまた募った。
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