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第146話

9月の日.月の連休だった日曜日に前から予定していたDLに行く朝。 「伊織さん、服これで良いかなぁ?」 俺は普段通り黒のGパンにブルーのシャツ.薄手の黒ジャケットを羽織ってる。 言われて振り返るとミキは灰色のスキニ-パンツに薄いピンク色のサマ-セ-タ-を合わせていた。 綺麗なミキの顔にピンクのサマ-セ-が映えて凄く似合っていた。 中性的な顔をしてるのが尚更、女性か男性か解りづらいユニセックス的でドギマギする。 「凄く似合ってるが珍しいな。いつも、シンプルでモノト-ンが多いのに」 「ん、折角、夢の国に行くんだから、明るい色を着て行こうと思って。服で気分も変わるでしょ?」 「ん、まあな」 お洒落なミキだからそうなんだろう、俺には良く解らんが、ミキを改めて見て今日はアンテナ張って無いとヤバいかもと考えていた、その位、ミキは可愛さが増していた。 「ミキは何着ても似合う。ま、1番は何も着てない裸だけどな」 「ん、もう。伊織さん、エロ親父っぽいですよ」 朝から2人で笑って支度していた。 *♪ピロ~ン LINEを開くと 「ミキ、下に祐一達着いたって。出られるか?」 「はい」 祐一に直ぐ降りるとLINEして玄関先で、ミキに軽いキスし頬を染めるミキに満足して玄関を出た。 マンションの目の前に祐一の車が停まって、運転席から祐一が手を挙げていた。 近寄り「悪いな、迎えに来て貰って」 「いや、構わない」 そんな遣り取りをし、後部座席に座ろうとドアを開けると 「おはようございます。ミキ、早く乗って」 真琴君が出迎えミキを手招きしていた。 俺はてっきり後部座席でミキと座るものと思っていたから祐一を見ると「久しぶりにミキと話したいらしい。朝から煩くって。悪い、お前こっちな」 助手席を指差して言われ渋々乗った。 「何で、お前の横に座らなきゃ何ねぇんだよ」 1言文句を言わなきゃ気が済まない。 「それは俺も同じ」 俺達の遣り取りなんか関係無く後ろでは、ミキと真琴君がDLの本片手にキャッキャッ騒いでいた。 羨ましい目で見て、真琴君なら仕方無いと諦め仕方無く祐一と話す。 「祐さん、DL行った事無いんですって、成宮さんは?」 「俺も無いな」 「ええ~、嘘でしょ?身近に2人も居るなんて、今時、幼稚園児でも行ってますよ」 「伊織さん、本当ですか?」 真琴君とミキに言われ 「ま、行く機会も無かったし自分からは行こうと思わなかったしな。混むしキャラじゃ無いし」 俺の返事に祐一がくっくっくっと笑っていた。 「お前も行くキャラじゃねぇだろうが、笑ってんじゃねぇ~よ」 「ま、確かに」 「やっぱり、伊織さんと祐さん仲良しなんだね」 ニコニコ話すミキに祐一と2人声揃えて 「「誰がこんな奴と!」」 言うと後部座席でミキと真琴君が大笑いしていた。 「ミキ、何か飲むか?」 「大丈夫。ありがと、伊織さん」 俺達の話しを聞いていた真琴君が 「この間も今も思ったんだけど、ミキの事ミキって呼ぶ様になったんだね。良かったね。ミキ」 嬉しそうに 「うん、俺も伊織さんって呼んでる」 「そっか~。じゃあ、僕も成宮さんじゃ無く伊織さんって呼ぼうかな?僕もマコでいいよ」 真琴君の話しに祐一の頬がピクッと動いたのを見逃さ無かった俺は真琴君に話す。 「真琴君、悪いが成宮のまま呼んでくれ。俺も真琴君って呼ぶから。ミキは意外と妬きもち妬きなんだ。ミキに嫌な思いさせたく無いから、幾ら真琴君でもね。それに……」 チラッと祐一を見て 「祐一も真琴君の事、マコって呼ばれるの嫌だろうし」 俺の話しを聞いて 「伊織さん、ありがと。マコ、ごめん。幾らマコでも、伊織さんの事、名前で呼んで欲しく無いのが本音。ごめんね」 手を合わせて謝るミキに真琴君は 「ごめん。僕も軽い気持ちで言っただけだから。祐さんも嫌がるなら僕も呼ばないし」 「マコ、じゃあ。呼ぶな」 「祐さん…」 祐一の言葉に頬を染める真琴君は案外可愛い恋する乙女って感じだそんな事を思っていたら、祐一の嫌味垂らしく話す声が聞こえた。 「伊織、でも、俺はミキを呼ぶのは変えないぞ。俺の方が先に出会ってるんだから、お前の気持ち何か知るか。今更、面倒だ」 「チッ!解ってるよ、そんな事。出会ったのが先だから仕方ねぇ。祐一と真琴君だけ許す」 「良かったな。マコと俺は許されたぞ、それにしても…妬きもち妬きはどっちなんだか?」 祐一のまたまた嫌味にムカつく。 「俺はミキに関しては心が狭くなるんだ。妬きもちなんて、どんだけ妬いてるか。ミキを見て惚れない奴なんていない!中身を知ればもっと好きになるに決まってる!」 俺の力説に祐一は呆れ、真琴は羨ましい目で見て、ミキは頬を染めていた。 「はい、はい。ご馳走さん。お前言ってて恥ずかしく無いの?聞いてる方が恥ずかしいわ」 また、嫌味を言うから 「全然、ミキに関しては恥ずかしい事なんて無いね。ミキの可愛いらしさを語ったら、キリが無い位だ」 「も、もう、伊織さん。恥ずかしいから言わないで。お願い」 顔を覆って止めるミキに、祐一の嫌味にちょっと思ってた事を言い過ぎてしまったようだ。 「ミキ、良かったね」 真琴君が話すとミキもふわりと花が咲くような笑顔で「うん」と答えていた。

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