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第154話
9月末仮決算月だが平日は残業しつつ、週末はミキとまったり過ごした。
それでも持ち帰った仕事をする時もあり、その間ミキは趣味のアクセサリーを制作していた。
「ミキ、今日は終わりにする。ミキは?」
「俺も丁度出来上がりました。見て下さい」
出来上がった物を手に取り見ると
「石垣島の時とDLの写真立てか。上手く出来てる」
石垣島の写真立てには、縁に貝殻があしらわれて海っぽい感じで、海に沈んむ夕陽をバックに2人で頬を寄せて撮ってる写真が入っていた。
もう1つはDLで、やはり縁にはミッキ-やドナルドの手跡.足跡の飾りを貼っている写真立てに、シンデラ城をバックに頭にカチューシャを乗せているミキと真琴君.キャラクター柄のキャップを被ってる俺と祐一の4人が写っていた。
「こっちは夕陽が綺麗でミキも綺麗でいい写真だが、DLはミキ達は可愛いが俺達はちょっと恥ずかしいな。でも、両方共写真立ては良く出来てる」
「気に入ってくれたら嬉しいです。伊織さんの部屋に飾って貰おうと思って。はい、どうぞ。思い出だから」
俺の為に作っていてくれたのか、写真立てをしみじみ見てミキのこういう所が本当にいい。
「ありがとう。寝室に飾る。寝る時と起きた時にミキの顔が見れる」
「俺も自分用に作って、部屋に飾って置きますね」
ふわりと笑う顔が綺麗で、暫く見惚れたのは内緒だ。
俺の寝室にはDLでミキが買ったエンジェルのぬいぐるみが飾ってある、その横に写真立てを飾ろう。
ミキがいない時に寒々と感じいた部屋にミキとの物が溢れているとミキが側にいるようで温かく感じて癒される。
忙しさの中にも、ほんの少しの幸せをいつもくれる。
この時期は忙しくなると前以て準備していた事が、功を奏し多少の残業で済んだが10月発売予定の和柄のト-トバックkawaiiの生産状況や広告ポップ.出荷準備の仕事も大詰めを迎え、俺も課全員で自分の仕事と忙しい日々を送っていた。
仮決算の資料も終わりト-トバックの出荷段階に入った。
9月も終盤に差し掛かった朝の朝礼で
「今日の予定だが、田口はサンダル、香坂はト-トバックとシュシュの出荷数と状況を午前中に連絡する事、後は在庫状況も解り次第連絡してくれ。佐藤は宣伝関係の出荷連絡しろ。以上だ」
早速、それぞれ電話で業者に連絡する。
俺も京都の工場に連絡を入れ出荷数.状況を確認するが、話しの長い工場長に捕まり中々電話を切れないでいた。
相槌を打ちながら愛想良くし、何とか電話を切り課長に連絡した。
「香坂、お疲れ。工場長は人が良いが話しが長いのが困るな。ま、たまにだ。多少は付き合ってやれ。それじゃあ、ト-トバック.シュシュは出荷完了だな」
「はい。在庫も作り始めているとの事です」
「そうか、クリスマスシ-ズンまでにどの位出来るか連絡マメに取るように」
「はい、解りました」
そっか、先のクリスマスシ-ズンまで考えて動いてるのは流石に出来る課長って感じで、上司としても頼り甲斐があって尊敬出来ると改めて思った。
田口さんも佐藤さんも報告し、これで伊織さんが1課で初めて手掛けたプロジェクトが1段落した。
後は売れてくれる事を願う。
田口.佐藤.ミキからの報告で無事に初出荷は済んだ、皆んな良く頑張った。
これからは俺の仕事だ。
アメリカ支社に連絡し西海岸.ハワイ方面を重点に商品を置いて貰う事.宣伝関係の使い方.売り方を話す。
当面は市場と売上を見ながら出荷していく事にし、課を上げてのプロジェクトだ。
必ず成功させたい。
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