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第161話
*♪ミキ、寝たか?*♪
おやすみLINEが来たのは11時過ぎていた。
こんな遅くまで一緒だったのか。
*♪まだ、起きてました。遅かったんですね*♪
*♪ちょっと長引いた。悪いな、早く休め*♪
*♪はい。おやすみなさい*♪
*♪また、明日な。おやすみ*♪
おやすみLINEが来た事にホッとしたけど……。
優しい伊織さん、別れたく無い、離れたく無い、側に居たい。
俺の我儘に伊織さんの幸せを壊す事は出来無いし……もう、何も考えたく無い。
伊織さんの出した答えに従う事にする。
それがどんなに辛い事でも、受け入れると決めた。
何より、伊織さんの幸せが1番だ。
ベットに入って、この週末が一緒に居られる最後かも知れないと考えていた。
責めて嫌な別れ方はしない様にしよう、伊織さんを困らせる事はしない様に努めよう。
別れ話をされると覚悟だけはしていた。
金曜日の昼前に内線で、同期の森山が昼飯を一緒に食べないか?と誘われた。
会社のエントランスに待合せし、外の定食屋で食べる事にした。
2人共ランチを注文し
「久しぶりだな。会社一緒でも階が違うと会わないもんだな」
呑気にそんな挨拶をしていた。
「そうだな。お前、転勤してからも活躍してるみたいだな。やっぱ、アメリカ帰りは違うって皆んな言ってるぞ」
「いや、俺の実力じゃあ無いよ。部下が頑張ってるからな。俺は出来るだけ本人の力が出せるようにフォロ-してるだけだ」
本当に良くやってるし団結力もある。
「謙遜するなよ」
料理が運ばれ食べ始めて、少し経ってから唐突に
「な、噂が出てるんたけどよぉ」
「何の?」
「惚けんなよ。お前と専務のお嬢さんの話だよ」
何を言われてるか解らず、どんな噂か聞いてみる事にした。
「惚けてないが、因みにどんな噂だ」
「言うけど本当かどうか教えてくれよ」
「ああ、解った」
「お前が専務のお嬢さんとお見合いして結婚するって噂だよ」
「………はあ?俺が専務の娘さんと…初耳だ」
びっくりして最初、声が出なかった。
「こう言う噂は本人には、中々入って来ないもんだよ。会社だと結構、皆んな知ってるぞ」
「そうなのか?知らなかった。そんな噂になってるとは」
だから、こいつ昼飯誘ったのか真実を知りたかったのか。
「皆んな専務も乗り気だし、出世も間違いなしって噂だぜ、本当に結婚するのか?」
それから俺は森山に本当の話をした。
休憩時間も終わる時間に森山と会社に戻る。
ホワイトボ-ドには、ミキは午後から外出になっていた。
既に机の上は綺麗に片付けられていて外出したようだ。
自席で書類を取り出し考え事をする。
森山が言っていた専務の娘さんとの噂話はミキの耳にも入っているのだろうか?
でも、いつもと変わらないミキは知らないのか?
こう言う時は佐藤だなと思い、さり気無く佐藤に遠回しに聞いて誘導すると口を滑らし全部話してくれた。
「そうか、そんな噂話あったとはな。知らないのは本人ばかりか」
「ま、噂話ですから……課長、彼女居ますしね」
本当の事が気になって探りを入れてくる佐藤に
「田口と香坂もその噂話し知ってるのか?」
「はい。3人で話してましたから」
「そうか、色々話してくれてありがとう。助かった」
自席に戻りミキの耳にも入ってると知り、どうすかと考えたが、外出しているミキにLINEを打つ。
*♪話がある。今日、俺のマンションに来てくれ*♪
程なく経って
*♪了解です*♪
LINEを見て、会って何から話すべきかどう切り出すか考える。
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