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第168話
「……美味しかったです」
「肉焼いただけだが、まあまあだったな。やはり、ミキの料理が1番美味しい」
朝食兼昼食を俺が動けないミキの代わりに作ったと言っても到底ミキには及ばないお粗末な物だが。
ミキはご機嫌斜めだ。
あれからイチャイチャモ-ドからHモ-ドになるのは自然の流れだ、ミキも途中からノリノリだったが、終わってみれば動けないミキを尚更動け無くしてしまった。
あの場合仕方ないと俺は思うが、ミキは「伊織さんのエロ親父」「堪え性が無い」「イチャイチャだけで充分だったのにぃ」とか恨み事を言うが、ミキに言われても可愛いだけだ。
「伊織さん?考え事?忘れない内に、沙織さんに連絡して下さいね」
「ああ、そうだな。本当に良いんだな?」
「もう、何回も聞かないで下さい。そんなに会わせたく無いんですか?何かあるって疑いますよぉ?」
「いや、何も無いが……。ま、いい」
会わせたく無いのが本当だ。
♪♪♪♪♪♪………
「沙織か?伊織だか。ミキが会っても良いって言ってる」
「○△□○△□○△□○△□」
沙織さんの声は俺まで聞こえないけど、気になってしまう。
「今日?今から?無理だ。明日だな」
「○△□○△□○△□○△□○△□」
「だから、無理だって。ミキは動けないから」
何か余計な事を言わないか心配になり始めた。
「○△□○△□○△□○△□」
「ああ、昨日、はげブッ!」
余計な事を言いそうになったから、クッションを投げて伊織さんの頭にヒットした。
「○△□○△□○△□○△□○△□」
沙織さんが何か言ってるようだけど、俺は恥ずかしくなって、つい声を掛けてしまった。
「伊織さん。余計な事を言わないで下さい」
「別に本当の事なんだから良いだろ?それよりミキ、良くもやったな」
クッションを投げ返され、俺の顔に当たる。
「や、酷い。伊織さんが変な事を言いそうになるからでしょ?」
クッションを投げ返すが避けられた。
「同じ手は効かない」
「避けないで下さいよぉ。そこは男らしく受けて下さい」
「俺は充分に男らしいが、昨日の夜に証明したと思うが。それにミキだって途中からノリノリだったじゃねぇか?…ん」ニヤニヤする。
「伊織さんのエロ親父、絶倫魔」
「褒め言葉だな」
「褒めて無いしぃ」
こんな言い合いも楽しいとニヤニヤからニマニマする
先に気付いたのはミキで、ハッとした顔で慌てて話す
「い、伊織さん。電話、電話中」
ミキに言われ、そうだったと思い出し、投げ出してた携帯を取り電話口に出る。
「何、人の事忘れてイチャイチャしてんのよぉ!いい加減にしなさいよ!電話切ってからしてよね!」
沙織に任し叩かれた。
沙織に何言われようが痛くも痒くも無い。
「煩えな。空気読んで電話切れよ、ったく。んで、明日で良いか?場所と時間LINEしてくれ」
ミキとイチャイチャしたいから早々に電話を切った。
「沙織さん、怒ってませんでした?」
怒ってたと言うより呆れてたが、ミキには聞こえなかっただろうと思って。
「いや、怒ってはいないが仲良しねって、嫌味言われただけだ。気にするな。後で場所と時間LINEくれる事になった」
「でも……電話放っといて…明日、どんな顔で会ったら良いか。どうしよう」
「会いたいって言ったのは向こうだ。堂々と俺の恋人の顔してれば良い」
恋人って言われて、パッと明るくなり微笑む。
「伊織さんの恋人として、恥ずかしく無いようにしなきゃ」
「もう、充分だが。これ以上だと俺の気が保たない。あんまり魅力的になるな」
頬を染め照れてる。
またイチャイチャモ-ドの雰囲気だが
「イチャイチャは大好きだから良いけど、今日はもうHしませんよ。明日、沙織さんに会うんだから、体調万全で行かないと」
ミキにしっかり釘を刺された。
快感に弱いミキを陥落させるのは、お手の物だが今日は自重した。
あ~あ、沙織に会わせるのは気が重い。
あの沙織の性格だ、何かイヤな予感がする。
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