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第171話
「沙織さん、今度は俺もヨシ君と話したいです」
矢島さんが来て沙織さんと交代した。
沙織さんは今度は伊織さんと話すようだ。
「ヨシ君、今日はありがとう。きちんとお礼とお詫びしたかったんだ。さっき、成宮さんに神崎さんの攻略法とか伝授して貰いました」
「そうですか。上手くいくと良いですね。沙織さんとは大学時代から?」
「知り合ったのは大学ですが、沙織さんはマドンナ的存在で当時は付き合ってる人も居ました。俺はただの後輩でしか無かったんです。でも、少しずつ親しく話す様になって、沙織さんの見かけの綺麗さだけじゃ無く優しい所.面白い所.竹を割ったような性格に、どんどん憧れから好きに変わっていきました」
「沙織さんも矢島さんの努力家と行動力のある所が、好きだと言ってましたよ」
「そうですか、嬉しいですが。もっと、沙織さんに相応しい人になるように頑張らないと」
「解ります。俺もいつも伊織さんに恥ずかしく無い相応しい人になりたいと思ってますから」
「同じですね。なんか親近感湧くなぁ。年下だから尚更、頑張んないとって肩肘張ってるのもあるんです」
「解ります。でも、肩の力を抜いて時には、沙織さんに甘えてみては?普段、頑張ってる姿は充分解ってるでしょうから、2人の時はリラックスしなきゃ。沙織さんは絶対受け止めてくれる人でしょ?」
「……そうですね。そう言う沙織さんだから好きになったんです。これからは甘える所は甘えます。ヨシ君ありがとう。神崎さんと会う時も普段の俺を見て貰うよ。沙織さんのこと大事にする事だけは解って貰う」
「頑張って下さいね」
それから世代が同じな事から、学生時代に流行った物.テレビドラマなど話が合い楽しかった。
矢島さんって話し易いし人当たりも良いから、専務も認めてくれるだろうと思った。
チラッとミキの方を伺うと矢島君と楽しそうにしていた。
何となく面白く無い。
「何よ、そんなに気になるの?ヨシ君は大丈夫よ」
「ミキは当たり前だが、矢島君が惚れないか?心配だ」
「やぁね~、大ちゃんは私にぞっこんよ。でも、確かに私と出会って無かったら、ノ-マルの大ちゃんでも解んなかったかもね」クスクス…
「だ.か.ら心配なんだ。さっきも、ミキに見惚れてたし、俺の前でミキの事を褒めまくってたしな。ミキは男も女も魅了するから。本人は全然その気無くっても周りがほっとかない」
「そりゃあ、あんだけ綺麗なんだから、誰でも見惚れるわよ。私だって本当に生きてるのかって、人形の様な美しさで驚いたわ。でも、伊織が惚気るのも心配するのも解るわ」
「だろう?」
「見かけの美しさだけじゃなく、中身も素直で可愛いんだもん。ヨシ君を知れば知る程離れられなくなるのも解るわ。伊織もまあ、カッコいい部類だけど中身がねえ……。その点、ヨシ君は外見も良し.中身も良しで庇護欲唆られるし、アレはモテるね。大変ね、伊織も目が離せ無いわね」クスクス……。
何度も言われた言葉に、そして俺自身が思ってる事をズバリ言われ
「笑い事じゃねぇよ。そんなの言われ過ぎて、解り切ってる事だ。俺が離すわけねぇだろ。俺はミキが居ないと生きている意味が無い」
「ほんとに凄い惚気ね。さっき、ヨシ君も同じ様な事を言ってたわよ。幸せね、伊織」
ミキが同じ様に思ってくれたと知って、嬉しくなり頬が緩む。
「ミキと出会って、初めて人を愛する幸せを知った。愛される幸せもな」
「はい、はい。ご馳走さま。あの伊織からそんな言葉が聞けるなんてね。驚きだわぁ」
呆れた様な沙織の事はどうでもいい。
もう、そろそろミキを返して欲しいもんだ。
「矢島君、そろそろミキを返してくれないか?」
驚いた様子の矢島君が「あっ、すみません。話込んじゃって。4人で話しますか?」
「伊織さん!折角だから4人で話しましょう」
ミキは顔を赤らめて話す。
「ミキが言うなら」
それから沙織と矢島君の学生時代の話しを聞いたり、俺とミキの話しをしたりと楽しく過ごした。
ミキも2人と仲良くなり、最初は緊張して居たのが今はミキの友達か?と思う程、楽しそうにして居た。
そろそろお開きかと俺が席を外しトイレに行って戻ると、ミキは飲み過ぎたのか?腕に頭を乗せて伏せて寝て居た。
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