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第174話
その日は金曜日だった。
ミキは沙織と真琴君と夕飯を食べて帰って来る。
2週間に1度か.週1で3人で会っているようだ。
沙織ともすっかり仲良くなって、俺の知り合いって言うよりミキの知り合いみたいだ。
俺は少しでもミキと一緒に居たいと思い一旦、自宅に戻り車で来て、ミキの部屋で待っていた。
今日はこのまま泊まり明日、俺のマンションに連れて行こうと考えていた。
後、1カ月程もすればクリスマスだ。
付き合って初めてのクリスマスに、俺はミキへのプレゼントとサプライズをどうしようか?と考えていた。
ミキはアクセサリ-関係が好きだから、それも良いかと思い部屋を見渡すとアクセサリーの入った箱が置いてあった。
「どんな感じが好きなのか?」
悪いと思ったが開けて見た。
ネックレス.ブレスレット.指輪と結構入っているなぁ、やはりお洒落が好きだとこうなんだろうな。
服に合わせる為か?シンプルな物からゴツい物まで色とりどりだ。
自分でオリジナルに加工してある物もあった。
「解んねぇな」
俺はアクセサリー類は全く興味が無いし、ミキから貰ったネックレス位しか持って無い、強いて言うなら腕時計を2~3本持ってる位だからな。
そんな事を考えて、フッと見るとアクセサリーの横にまた違う箱があり、中を開けると腕時計が沢山あり、こちらも綺麗に陳列されていた。
「時計もありか。こっちも色々あるな」
高いのからお洒落系まで。
プライベ-トではスマホで時間は見てるし、会社ではいつも同じ腕時計を使っていた。
その腕時計も年代物の高そうな時計で、たまにプライベ-トで使うのも、その腕時計だったから腕時計を収集してるとは知らなかった。
「ミキに、それとなく聞いてみるか」
その時は腕時計を見ても、ただ収集品としか思わなかったが、後から見なければ良かったと後悔する事になった。
「ただいま」
10時頃にミキが帰ってきた。
玄関に迎えに行く。
「おかえり。楽しかったか?」
「はい。また、大将のお店に行って来ました。お料理が美味しいから、マコも沙織さんも大将の所が良いって」
「おやじも喜ぶな」
「はい。大将、凄く嬉しそうでしたよ。伊織さん、食事は?」
「適当に、食べて来た」
「そうですか。今日は泊まります?」
「明日、少しドライブでもして、俺のマンションに行こう」
「はい」
嬉しそうに笑顔で応える。
この笑顔を見るだけで疲れが飛ぶな。
風呂から上がってきたミキの髪を乾かしてやり、背後から抱きしめ風呂上がりで良い匂いのミキの首筋を嗅ぐ。
「良い匂いだ。あったかいな」
「伊織さんも、一緒に入れば良かったのに」
「自分の所で済ましてきたからな。それに、ただ入るだけじゃ済まなくなる。ミキの所では、セックスはしないと決めているからな」
「俺に配慮してくれて、ありがとうございます。伊織さんのそう言う所、大好き」
堪らず、ミキの顎を持ち向けさせ軽めのキスをした。
チュッチュ。
「今日はここまでな。これ以上はマズイ」
「それじゃあ、お話でもします?」
「そうだな。今日は矢島君は?」
「矢島さんはお仕事です。でも、沙織さんが終わる時間に電話して、迎えに来てもらってました。俺とマコも送って貰いました」
「そうか、沙織も人使いが荒いからな。ミキも俺を呼べば良かったんだ」
「そう思ったんですけど、沙織さんが呼ぶ事無いって」
「あのヤロ-、俺が行くとミキと話せなくなるからだろ」
「そうじゃ無いですよ。沙織さん、矢島さんに甘えてるんです」
ミキは人のことを変な風には取らないからな。
沙織が甘えるわけ無いだろうが。
「ま、いい。疲れただろう。寝るか?」
「はい」
ミキを背後から抱きしめ、狭いベットでくっついて眠る。
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