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第178話

♪♪♪♪…♪♪♪♪ 朝、早くに電話してくるのは、1人しか居ないと一睡もしていない俺は画面を見ずに、直ぐに電話に出る。 「やはり、祐一か。どうした?ミキに何かあったか?」 「伊織、悪い。俺が帰ってた時には落ち着いてたんだが、伊織が俺の店に来て飲んで帰った事に腹が立ったらしい。そういう店で飲んで、声掛けられるの解ってる癖にって。声掛けられたのか?って聞かれて、嘘付ける状況じゃあ無かったから2~3人にとは言ったが、全部断って居たとも言ったんだが……。ミキの行先が解って、ホッとしたんだとか俺が勧めたとか、フォロ-したんだが……悪い」 祐一め! とは思ったが、祐一を責められない、元々の原因は俺なんだから。 「そうか、解った。連絡くれてサンキュ-な。後は俺が何とかするから気にするな」 「悪いな」 言った祐一から突然真琴君に代わり、俺はミキを泣かしてって責められると思って覚悟していたが 「真琴です。成宮さん、ミキも腕時計の事は反省してます。こんな事を今言うのはどうかと思うんですけど…。ミキが今まで付き合っていた人に、こんなに自分を素直に曝け出して居るのは初めてなんです。今までは嫌われ無いように相手に合わせていた所もあったから……だから、本当に成宮さんとは喧嘩まで出来る様になったって事は、それだけ自分の全てを見せても信頼出来るって、ミキの中では思ってるんです。だから、これからもミキの事宜しくお願いします」 真琴君の話に、俺は涙が出る程嬉しかった。 「ありがとう。今までもそうだったが、これからは一層愛していく。これからも喧嘩もする事もあるかも知れないが、真琴君にはミキの話を聞いて味方になってやってくれ。俺からも頼む」 「はい、俺はいつでもミキの味方です。祐さんに代わります」 「そう言う事だ」 「祐一、真琴君と出会って良かったな。見た目より、しっかりしてるし情が深い。ミキも良い友達を持った」 祐一は照れてるのか真琴君が側に居る所為か小声で話す。 「ん、幸せだ。マコが居なかったら、俺の世界は灰色に見えていた。生意気だが、明るいマコに救われている」 「そうか」 「ま、ミキはどっちにしろ、明日仕事あるんだ。今日の夕方には自分のマンションに帰るだろうから、その時には少しは落ち着いてるだろう。火に油を注いで悪いが後は頼む。じゃあな」 「解った」 スマホを置き俺は祐一の店の時から、冷静になっていた。 ソファ-に横になり考え始めた。 「さて、どうするか?」 真琴君の言葉に、俺はミキの信頼と愛を得たと自信が湧いてきていた。 今回は俺の嫉妬から出た喧嘩だった。 怒りで、ミキの考えや性格を考慮しなかった。冷静に話を聞けば解る事だったし、じっくり俺の気持ちを話せば良かったんだ。 過去の奴らに嫉妬しても仕方ない事なのに、ミキを誰にも渡したく無い.奪い取られたく無いと言う気持ちがあるからだが、祐一の店に飲んでた事を怒ってると言うミキを聞いて、ミキも同じ気持ちなんだろうと思うと、お互い愛し過ぎての思いなんだ。 そう考えれば頬が緩む。 夕方には帰るだろうミキを、待ち構えてやろうと一睡も出来ずにいた俺は、夕方に備えて少し眠る事にした

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