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第183話
「いっ、痛」
リビングから顔を出し寝室を覗いて
「どうした?」
どうやら起きれたらしいが、ベットから出て立ち上がる時の声だったらしい。
「……起きれたんですけど……立ち上がる時に腰が……」
俺を見て恨めし顔をする。
いや、俺に責められてもなあ。
「ミキ、俺は言ったはずだぞ。ミキの今日の負担を考えて挿れないって。それでも、お強請りしたのはミキだからな。あんなにお強請りされたら俺だってな」
「………何にも言ってません。解ってます」
「そうか、なら良い。ほら、先におはようのキスは?」
顔を近づけると俺の頬を両手で添え、可愛いキスをする。
ちゅッ。
俺もお返しのキスを仕返し、額を合わせ挨拶する。
「おはよう」
「おはようございます」
「簡単だが朝飯作った。まだ、時間あるから食べよう」
「うわぁ、嬉しい。ありがとうございます」
こんな事でも素直に喜ぶミキが朝から可愛くって仕方ない。
動けるとは言ったが、リビングまで抱き上げ運ぶ。
簡単な朝食を食べ、俺の車で会社近くのパ-キングまで行き、先にミキが降り歩いて会社に行く後ろ姿を見て笑いが漏れる。
くっくっくっ「ぎこち無い歩き方して」
本人は普通に歩いてるつもりだろうが、色々事情を知ってる俺には、ぎこちなく見える。
それから、時間差で会社に出社し朝礼を始める。
立ち上がる時にミキが
「いっ、痛」
「どうした?腰でも打ったのか?」
田口の問いに
「すみません。昨日、部屋の模様替えをしてて荷物の整理してたものですから」
「そうか、ギックリ腰じゃなくて良かったな。あれは、動けなくなるらしいからな」
そんな2人の会話に心の中で、笑いが漏れる。
「そろそろ朝礼するぞ」
今週の予定と何も無いか確認し、簡単に終わらせて
「じゃあ、朝礼終わりだ。香坂、腰悪いなら今日は無理するな。内勤してろ」
「……はい。すみません」
自席に戻る時に、ニヤニヤしてたのは誰も解るまい。
午前中は立ち上がる時に、小さく「いっ」、座る時も動作がゆっくりだったミキを見て、ずっと顔に出さずニヤニヤして可愛いミキを堪能していた。
午後からは、だいぶ良くなったらしいミキにLINEを送る。
♪*帰りは、一緒に帰ろう。俺が先に退社するから後から来い。車で待ち合わせな♪*
♪*はい♪*
こう言う感じが、社内恋愛って事だなと思い、短い返事がきて送ってくれると思っているだろうが、今日も泊まらせるつもりだ。
まだ、きちんと話をしていないからだ。
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