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第188話
次の日、開店前に‘R’moneに行き、真琴君と待ち合わせしていた。
まだ、開店前の店内は夜の世界とは違う静けさがあった。
カウンタ-に座ってる真琴君の隣にミキが座り、その隣に腰掛けた。
「仲直りしたのか?良かったな」
ニヤッと笑い、口火を切ったのは祐一だった。
「ああ、悪かったな。世話になった」
「はっ! お前の為じゃねぇよ。マコの為だ。ミキに、何かあるとマコが悲しがる」
「そうか、そうか。悪かった」
祐一はそう言うが、こいつなりに心配していた事は俺には解る。
ミキも真琴君に喧嘩中に迷惑掛けた事.仲直りした事を話していた。
「それで、マコと祐さんにも使って貰おうと思って、コレ」
真琴君にはお洒落な時計を、祐一には高そうな時計を渡した。
「良いのぉ?」
「うん。どうせなら知ってる人に、大切に使って貰えたらと思って。使ってやって」
「うん。ありがとう」
「使わせて貰う」
真琴君も祐一も納得してくれた。
今回の件で、これまで真琴君の連絡先を祐一に気を遣い交換して無かったことで、店に顔を出し、事が大きくなった。
だから、真琴君との連絡先を交換する事を祐一に頼んだ。
「仕方ねえ。非常事態の時だけな、それ以外は連絡するな」
祐一も今回は多少なりとも責任を感じたのか?釘を刺しながらも許可された。
そうして祐一とミキの前で、真琴君との連絡先を交換をした。
それからは、喧嘩中の事を揶揄われたり、この前行ったDLの話をしたりと楽しく過ごし、開店して混み始めたと思いミキと店を出た。
それから、俺達はまだ残ってる腕時計を売りに行く事にした。
「このお金で食事行きましょう」と言われたが、「いいから、自分で何か好きな物でも買えよ」と言ったが、ミキは折れず。
「悪いけど、泡銭です。それなら、伊織さんと美味しい物食べて、綺麗さっぱりと使い切りたいです」
ミキの気持ちが嬉しかった。
結局2人で、そのお金で高そうなレストランで食事をし、これでこの件も一件落着となった。
まあ、腕時計に限らずに他にもプレゼントはあるだろうが、もう喧嘩はコリゴリだと目を瞑る事にした。
ミキは安かろうが高かろうが、プレゼントすると喜んでくれ嬉しい顔をするから、その顔見たさに、何でも買ってやりたくなるが本人は何にも欲しがらない。
いつも「気持ちで十分です」と気持ちを優先に考えるそんなミキだから、貢ぎたく成る気持ちも解る。
これからは、俺だけがミキにプレゼントする事が出来るんだ。
手始めにクリスマスプレゼントだなと考えた。
部屋に帰りゆっくり過ごす事にした。
「ミキ、これで良かったのか?」
「はい。使わないで持っているより使って貰った方が良いですし、俺には祖父のが有りますから……でも、もう寿命かもしれないけど…」
寂しそうな顔をする。
「それだったら、その時まで大事に使わないとな」
「はい」
その時、ミキのクリスマスプレゼントを決めた。
それからは、日曜日の夜にミキが帰るまでイチャイチャして過ごした。
12月に入り街は、クリスマスの雰囲気やグッズで溢れていた。
籠ト-トバックも順調に売上が伸びて、工場.竹業者も嬉しい悲鳴を上げていた。
クリスマスに向けて増産を掛け、プレゼント用に宣伝も強化するようアメリカ支社にも葉っぱを掛け、仕事も順調に進んでいた。
クリスマスまで、あと2週間前の休日に
「ミキ、イブの日はホテルのレストランで、食事してそのままホテル泊まろう。もう、予約取ってある」
「えっ、でも男同士でホテルで食事って…」
「気にする事無い。初めてのクリスマスを過ごすんだ少し雰囲気を変えて、ロマンチックに過ごすのも良いだろう?」
「伊織さんが良ければ……。でも、今年のイブは土曜だから、良くホテル取れましたね」
「早めに予約してた。ミキと初めて過ごすクリスマスだ、どうしようか?以前から考えていた」
「ありがとうございます。凄く嬉しいです。伊織さんと一緒なら部屋で過ごしても俺は嬉しいですけど…」
「俺もミキと一緒ならどこでも良いが、今回はロマンチックに過ごすのも良いかな?と、なんて言っても2人で過ごす初めてのクリスマスだ。少し奮発させろ」
「はい。楽しみにしてます」
こうして俺達のクリスマスの予定が決まった。
ミキより俺の方が、初めて過ごすクリスマスを楽しみしていた。
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