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第189話
クリスマスイブの当日に、わざわざ待合せする事にしていた。
前日から俺のマンションに泊まり一緒に出るのでは味気ない気がして、飽くまでロマンチックに過ごす為に待合せし、ミキを待ってる時間もワクワクすると思ってそうしたのだが……。
その前日の金曜日にスマホが鳴った。
♪♪♪♪…♪♪♪♪…
ミキからだった。
そろそろおやすみLINEをしようと思っていた所だった
「ん…どうした?今、LINEしようと思っていた」
「お疲れ様です。明日、待合せの時間ずらして貰っても良いですか?」
待合せは、夕方5時にしていた。
少し街中を歩き、クリスマス気分を味わってからホテルで食事しようと思っていた。
「良いがどうした?何かあったのか?」
「……それが、マコと沙織さんが午後から3人で会おうって言われて、伊織さんと夕方に待合せしてるからって言って、1度断ったんですけど…」
「はあ、2~3日前も3人で、会ったばかりだろうが」
「はい、2人共断っても聞いてくれなくって……。7時にホテルのレストランに、直接行きますから」
「……ミキが断れないなら俺が断る。ちょっと待ってろ。また、連絡する」
「いお…」
ミキが何か言ってたが、直ぐに沙織に電話した。
「何?掛かってくると思ってたけどね」
「じゃあ、俺の言いたいこと解るだろ!」
「良いじゃ無いのよ。少し位、私達にもヨシ君貸しなさいよ。マコちゃんと決めたから、何言っても無駄よ」
「何、勝手に決めてんだよ! イブとクリスマスの日はダメだ!」
「だ.か.ら。イブとクリスマスはどうぞ。待合せに、間に合うように帰すから。もう、決めた事だから」
「なん…」
勝手な事言って切られてしまった、掛けたが電源切りやがった。
「あのヤロ-!」
今度はLINEがきた。
沙織かと開くと真琴君からで
♪*すみません。ミキとクリスマス会したいから、少しだけ貸して下さい。お願いします♪*
くそぉ~、沙織の奴。
真琴君に、連絡しやがったな。
ミキの親友の真琴君に頼まれると、嫌とは言えない。
ミキが世話になってるし喧嘩中も世話になったし、真琴君にはミキの彼氏として点数を上げ時たいという邪な考えも働いた。
「仕方ねぇか」
真琴君のLINEに返信する。
♪*解ったが、待合せにはきちんと返してくれよ♪*
♪*ありがとうございます。話が解る人で良かった。イブ楽しみにしていて下さいね♪*
楽しみにしていて下さい?書き間違えか?と放っといた。
ミキに折り返しの電話すると、待っていたのか直ぐに出た。
「どうでした?説得出来ました?」
「無理だった。沙織ならともかく、真琴君まで出て来られたら無理だな。2人には、待合せの時間までには帰すように言っておいた。仕方無い。ミキとクリスマスを過ごしたいのは、俺だけじゃ無いって事だ。少しは我慢するしか無いな」
「ありがとうございます。沙織さんは、その後矢島さんと過ごす予定ですけど、マコは祐さんが仕事だから……。俺も予定無い時は、マコと過ごしてたから寂しいのかも知れません。少しだけ、マコ達と過ごしますね」
「そうだな。考えてみれば、祐一は忙しい時期だったな。ん、解った。真琴君達に少しだけ貸そう。だが、あまり食べ過ぎるなよ。レストランで食事するんだからな。後、待合せ忘れるな」
「はい。お腹空かせ行きます。絶対に忘れませんから」
「じゃあ。明日、ホテルのレストランに7時。先に着いたら、成宮で予約してるから入ってて良い。俺も先に着いたらそうするから」
「はい。楽しみにしてます」
「ジャケット着用忘れるなよ」くっくっくっ
「んもう。毎回、言ってますよ。解ってます」
「じゃあ、明日。おやすみ」
「はい、おやすみなさい」
電話を切り独り言を呟く。
「仕方無い。ミキは人気者だ、独り占めは出来ない……か」
こうして、ミキは真琴君と沙織とクリスマスを短時間だが過ごす事になったが、考えてみれば、その後の時間は、全て俺と過ごすんだと思えば大した事じゃないと思い直す。
その真琴君と沙織が、俺にサプライズプレゼントをくれる事になるとは、この時は知らず、俺は明日のミキとの初めて過ごすクリスマスに浮かれていた。
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