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第190話

先に来ていた俺は、レストランに入ってテ-ブルに着いていた。 時間を確認するが待合せの時間は7時で、後20分程あった。 まだか?早く会いたいとソワソワし、どんだけ楽しみにしてるか解るなと苦笑いする。 周りを見ると、やはりカップルが多いな。 あまり目立たない席を頼んでおいて良かった。 これじゃあ、ミキも気になってしまうだろうから。 まだ来ないミキに、先に着いてレストランに入ってるとLINEしようとスマホを取り出す。 スマホを弄ってると、店内がザワザワしだした。 何だ?と周りを見ると、皆んな入口を見ていた。 俺もつられて入口を遠目で見ると、これぞ絶世の美女が立っていた。 俺も周りの人も唖然とし、店内の雰囲気が変わった。 モデルか芸能人でも見てる様なそこだけ別世界だった 髪はアップにし、品の良い髪飾りを付けて、長めの前髪は綺麗に斜めに流し、サイドと後れ毛を少し垂らすその姿が何とも色っぽい。 色白の肌に、紅の口紅.綺麗に描き上げた眉.シャドウで目が大きく.ピンクの頬紅、白い肌に良く映えるワインレッドのワンピースドレス。 首から胸元までシ-スル-の切替で、腕の部分が分かれている。 そこからレ-スが見え7部丈で、ワンピースの丈は前と後ろで長さが違う丈なのがお洒落だ。 元々細いと思われる腰が、大きめのベルトの所為か?尚更、細くエロティックですらある。 小物もイヤリングはシルバーで、ワインレッドのワンピースに合わせて黒のバックと黒のハイヒールで纏めていた。 美しい容姿に、とても似合って艶やかであり色っぽい 誰もが息を飲んでいたのが解る。 俺も目が離せなかった。 ミキ以来の俺のタイプドストライクだった。 今、フリ-でミキと出会って無かったら、女と知っても声を掛けていたかも知れない。 女に興味が無い俺でも見惚れる位の美女で、そう思った事をミキが知ったら怒られるなと思った。 ボ-と見惚れていたボ-イもハッとし動き出し、待合せ人へと案内を始めたのに合わせて俺も目を晒し、途中だったスマホをまた弄り出した。 コツコツコツ…コツコツ… 女性が歩く度に溜息が、あちらこちらと漏れるのが解る。 コツコツコツ……コツン 「どうぞ、こちらです。お連れ様がいらっしゃいました」 ミキが着いたのか?とスマホを弄るのを止め顔を上げる。 俺の目の前には先程、入口にいた絶世の美女が立っていた。 ボ-イが椅子を引くと、席に座り頬を染め 「伊織さん…待ちました?」 耳に心地良いアルトの声が聞こえ、その声はいつも聞いている愛しい人の声だった。 「もしかして……ミキか?」 「はい……変ですか?」 恥ずかしそうに頬を赤らめ話す姿に周りでは、またザワザワした。 あの入口の絶世の美女はミキか?何で?またこんな格好してるのか?疑問だったが、ミキなら女であっても俺が見惚れるのは理解出来た。 「いや、変じゃ無い。良く似合ってる。俺は一目惚れどころか二目惚れした。正直な所、ミキが女であっても、女に興味が無い俺でも惚れていたかも知れないと思った」 「そうですか。喜んで良いのか悪いのか複雑ですけど……」 「たが、どうしたんだ?その格好は?いや、話は食事しながら聞こう」 ボ-イを呼び、頼んでいたコ-ス料理と赤ワインを頼んだ。 直ぐに、前菜と赤ワインをグラスに注がれ、グラスを傾けて 「初めてのクリスマスに」 「今日は、ありがとうございます」 カツンッ。 軽くワイングラスを当て乾杯する。 コク.コク.コックン。 ワインを飲む喉元が、とてもセクシ-だった。 「深みがあって美味しい。高そうなワインですね」 微笑み話す姿が、本物の女性より女性らしい。 出掛ける時は、モノト-ンが多いが普段は明るい色を好んで着ている。 色もピンク.オレンジ.スカイブル-と、あまり拘らないミキは中性的な感じで、どちらともとれる感じだが、本物の女性の服を着て着飾るだけで完璧な女だ、いやそれ以上だ。 「伊織さん?」 「ああ、食べながら聞こうか?で、どうしたんだ?」 前菜に口をつけ話し始めた。

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