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第191話
あまり聞かれないように、小声で話す。
「2~3日前に3人で会ったときに、今日の事を話してたんです。ホテルのレストランで食事なんだけど、男同士で周りカップルだらけで伊織さんが恥ずかしい思いするんじゃ無いのかって。俺も…私もちょっと目立っちゃうなとか話してたから、多分、その後2人で連絡取り合って結託したんだと思います」
「そうだったのか?それで、今日やたらとミキに会いたがってたんだな」
「はい。私は知らなかったんですけど。今日、会った時は普通にカフェで、美味しそうなパンケーキ食べて楽しく話してたんです。段々と話が、クリスマス何だから周り気にせずイチャイチャしたく無い?とか言い出して、その時は、何にも考えずにイチャイチャしたい.なんて返事したのがいけなかった。2人共ノリノリで計画し出して困りました」
「そうか。最初から、そのつもりだったんだな」
ス-プ.魚料理.パン.サラダと順に運ばれて、話してる合間にも「美味しい」「美味しい」と喜んで食べていた
話してる間もボ-イが、料理を運んだり下げたりと何となく忙しない。
口直しにソルベが運ばれ「さっぱりして美味しい」頬に手をあて笑顔が溢れる。
その姿を周りの人がチラチラ見ているのが解る。
見せたく無いのと見せびらかしたい気持ちで複雑だった。
肉料理が運ばれ、暫くワインを飲みながらゆっくりと食事をする。
「話が途中だったな。それで?」
「それから、沙織さんの行き着けのお店で何着か着せ替えさせられて、靴やバックも何種類も取っ替え引っ換えで、本当に疲れました」
「そう言えば、沙織は子供の頃から人形遊びが好きだったからな。良い鴨にされたな」
「沙織さんもですが、マコも伊織さんが俺…私のサ-クルの時のお姫様の格好の写真が見たいとか、写メ送って欲しいとか言ったんですか?それで、マコが成宮さんもミキの女装姿見たいみたいだから、クリスマスなんだから叶えてあげたらって」
「ああ、そう言えばDLの時にそんな話を少ししたが、ミキが嫌がるからダメって断られたが…覚えていたのか?それが、こんな形で叶うなんてな」
「伊織さんの責任も一理あるんですからね。お店出てから、今度は沙織さんのご自宅に伺って、髪やら化粧やらドレスやらで、本当にお人形さん状態でした。写メも沢山撮られて……沙織さんの目が怖かったです」
「そりゃあ、リアル着せ替え人形なんだからな。沙織は楽しんだだろう。自宅って、専務居なかったのか?」
「はい、クリスマスで奥様とお出掛けしてたみたいです」
「ふ~ん、沙織の奴上手くやったな。で、ここまでは、まさかその格好で電車乗ったんじゃないだろうな」
「沙織さんに、ここまで車で送って貰いました。そのまま矢島さんの所に行くって言ってました」
「そうか、良かった。折角、沙織と真琴君の好意だ、楽しもう。外見は違ってもミキはミキだ。クリスマスなんだから、気にせずにイチャイチャするのも良いだろう?」
ミキの目を見詰め手を握る。
これが男同士なら出来無いが、今日は周りの目を気にせずに出来る事は嬉しいが、別の意味で注目されている。
ミキが美しく絶世の美女だからだ、この美貌に男は見惚れ、女は羨望の眼差しで……困ったもんだ。
普段のミキも何もして無くても人を惹きつける容姿だが、今日は綺麗に着飾り美しさに磨きがかかってフェロモンが溢れている。
周りを牽制するように、ミキの手を持ち唇を落とす。
この美しい人は、“俺の者”だ。
周りから溜息と歓声が聞こえるが、折角の沙織達の御好意だ、今日は気にしないで、人前で堂々とイチャイチャしてやると心の中で決めていた。
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