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第193話
レストランを出る際に、俺のコ-トとミキのコ-トを貰い2人分を手に持ち
「どうぞ、お姫様」
腕を組むよう催促さると、ミキも照れながらも腕を組んでエレべ-タ-でロビ-に降りる。
ロビ-には大きなクリスマスツリ-が飾ってあって、何人かツリ-をバックに写メを撮っていた。
ホテルマンを呼び、ミキと並んでツリ-をバックに、腰に手を回し寄り添い2人並んで写メを撮って貰い、顔を寄せて撮ったりと2~3枚頼んだ。
スマホを渡される際にホテルマンが
「お似合いのカップルですね。良いクリスマスを…」
「ありがとう」
返事をし、中々、洒落たホテルマンだと思った。
ロビ-を出る際に、手に持っていたミキのコ-トを羽織ってやる。
首元と手首の辺りにファ-が付いた白いコ-トは、ミキに良く似合っていた。
自分もコ-トを着て外に出て、腕を組んで歩き
「良く似合ってる。そのコ-トも沙織が選んだのか?」
「このコ-トは沙織さんので、もう着ないからあげるって言われたんですけど……貰っても着る機会が無いから困るんですけど…」
「ふ~ん、あげるって言うんだから貰っておけ。また、着る機会があるかも知れないぞ」
くっくっくっ…
「無いですよぉ」
沙織がリアル着せ替え人形遊びを止めるとは思わないし、必ずチャンスを狙ってるはずだ。
こんなに女装が似合うなら、今度何着か買うのも有りだな。
それなら周りを気にせずイチャイチャ出来るしと考えていた。
「伊織さん、伊織さん。外も凄い綺麗!」
街のあっちこっちで、クリスマスの装飾がされて街路樹にはイルミネ-ションが施されていた。
道行く人々もイルミネ-ションを堪能し、皆んな周りなど気にせず自分達の世界に浸っていた。
「凄いな。日本のイルミネ-ションは…」
「そうですね。アメリカはクリスチャンだから家族で過ごすのが当たり前ですからね。日本は恋人同士のイベントって感じですから」
「そうだな。確かに、この非日常的な感じは開放感がでるな」
「あっちに、ツリ-があるみたいです」
イルミネ-ションの中を、ミキと腕を組んで歩き、誰も自分達を見てないからと、普段人前では出来ない事を心置きなくする。
耳元で囁いたり顔を寄せて話したり腰に手を回したり、腕を組んだり繋いだり……。
少し歩くと大きな広場には、見事なツリ-が飾られていた。
「うわぁ、ホテルのツリ-も凄かったけど、やっぱり外だとまた違った雰囲気で、凄く綺麗」
イルミネ-ションの光がミキの顔に輝き美しさが増す。
「綺麗だ」
「ですよね」
「いや、ツリ-じゃ無い。ミキの事を綺麗だって言ったんだ」
「んもう、伊織さんったら」
照れて可愛い。
ここで抱きしめても、誰も何とも思わないだろう、周りでは既にクリスマスと言う事でイチャイチャしたり、抱き合ったりキスしてる者もいる。
別に、周りに充てられた訳じゃないが、俺もミキを抱きしめ耳元で囁く。
「本当に綺麗だ。俺は幸せ者だ」
俺の胸に顔を埋め
「俺の方が幸せです」
顔を上げ見詰め合い微笑む。
完全に2人の世界だ。
それから2人で自撮りしたり、イルミネ-ションの前で撮ったり、ミキだけを撮ったりと沢山の写メを撮り
「寒くなって来たから、ホテルに戻るか?」
「はい」
ホテルまで煌びやかな光の中の道のりを、俺のコ-トのポケットに手を繋ぎ入れ、肩を寄せ合って歩く。
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