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第194話
ホテルのフロントで部屋のキ-を貰い、それから少しだけ最上階のバ-で、軽く飲む事にした。
俺が、まだミキを見せびらかしたかったのと、こんな機会も無ければ人前で堂々とイチャイチャ出来ないと思い、この絶好のチャンスを逃す訳が無い。
バ-は薄暗く間接照明が施されていて、とても雰囲気は良かった。
「いらっしゃいませ。2名様ですか?」
「ああ、できれば窓際でお願いしたい」
「畏まりました。ご案内させて頂きます」
ボ-イに案内された席は、窓際の景色が見えるカウンタ-だった。
「バ-ボンとマティ-ニを頼む。ナッツとチ-ズも」
「畏まりました」
最上階から見る景色も最高だった。
街並がキラキラし、宝石が散りばめられているようだった。
「綺麗ですね。あの道を歩いて来たんですね」
「上から見ると、また違うな」
話していると頼んだバ-ボンとカクテル.ナッツとチ-ズが運ばれて、軽くグラスを合わせ飲む。
隣同士に座り肩が触れる位近寄り、内緒話するように顔を近づけて、ミキの手を握り話す。
「ミキは嫌だったかも知れないが、女装して来てくれたお陰で、人前でもイチャイチャ出来た。ありがと」
「嫌って言うか恥ずかしいって言うか。伊織さんに、こんな格好見られて何と言われるかと思って……。俺も今日位は、周りを気にせずイチャイチャしたかったから」
「とても似合ってる。ミキはミキで変わらないが、本当にたまに女装して外出するのもいいな」
「………本当に、たまにですよ」
良し! こう言えば、絶対に渋々了承してくれると思った、心の中でガッツポ-ズする。
「解ってる。部屋だけじゃ無く、イチャイチャしたい時もあるからな。それかイベントの時だけってのも有りか」
「……まあ、考えておきます」
頬に手をやり顔を見詰め
「本当に綺麗だ。今年のクリスマスはミキと過ごせて最高だ。ありがと」
俺の手に頬を擦り寄せ
「伊織さんの方こそ、今日の為に予約してくれたり色々考えてくれて、ありがとうございます。お陰で凄く楽しかったです」
耳元に話し掛ける振りをして、軽く唇を奪い我慢する
「伊織さん…」
頬を染め艶を増し色っぽい声を出す。
今度こそ耳元で囁く。
「今は我慢する。少しだけ、ミキを見せびらかしたい気分なんだ、この美しい人が俺の者だってな。お楽しみは、少し先で……な」
これからの夜を思わせるセリフに、ミキからのフェロモンが駄々漏れになる。
少しだけアルコールが入ってるのもあるが、誘うような目と唇で逆に囁かれる。
「今日、ずっと伊織さんが格好良くって……。俺も自慢の彼氏って、見せびらかしたかったけど、早く2人っきりになりたいのも本当です」
「あまり、煽るな。これでも我慢はしてるんだ。少しだけ、クリスマス気分を味わいたい。1杯だけ付き合え」
「はい」
こうしてミキが、女装して頑張ってくれたんだ。
食事してセックスするだけってのも味気無いと、最高の思い出を作りたいと街路樹を歩き、沢山の写メを撮り、バ-で景色を楽しみ軽く飲み、部屋に行こうとプランを変更したんだ。
予想外に、ミキもクリスマスの雰囲気に酔ったのか?誘う仕草をするから困る。
ミキがコテっと俺の肩に頭を乗せ
「伊織さん、大好き」
いつも言われているが、この雰囲気で俺の心臓がドキドキと高鳴る。
ミキの肩を引き寄せ俺も囁く。
「ミキ、愛してる」
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