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第205話

「鎌倉の方でも、行ってみるか?」 「はい」 車を出す前にミキを引き寄せ、軽めのキスから咥内に舌を入れ絡めとり、唇を離し満足して何食わぬ顔で話す。 「さて、行くか」 車を出し走り始めた。 「伊織さんったら」 照れて恥ずかしがって俯く顔で、膝に置いたドナルド&デジイ-を触ってる姿に、いつまで経っても初々しく昨日の夜の姿は別人か?と錯覚してしまいそうになる。 「折角、気にしないでイチャイチャ出来るんだ。今まで、やりたくても出来なかった事を片っ端からするつもりだからな」 「え~、何ですか?怖いんですけど…」 話してると最初の信号に捕まる。 「1つは、赤信号の時にキスする事」 言って直ぐに、ミキの後頭部に手をやり唇を奪う。 濃厚なキスは出来ないから、軽めのキスをチュっチュとし唇を離す。 赤→青に変わり車を出す。 「……伊織さんのしたかった事って、コレですか?…見られたら恥ずかしいけど……でも、俺も憧れてやってみたかったから……ちょっと嬉しいです」 赤くなる頬に手をやり、照れてる姿が可愛い。 何で一々可愛いんだ? 外見は綺麗過ぎて近寄り難い雰囲気だが、ミキを知れば知る程、素直で可愛い性格が離れられなくなる。 それだけでも充分なのに、可愛い仕草.天然.寂しがり屋の甘えん坊ときてるから始末に置かない。 破壊的な可愛いさだ。 デレデレした締まりの無い顔でミキを見て、ハンドルを握っていない方の手で手を握り恋人繋ぎをする。 「えっ」 「したかった事2つめだ。手を恋人繋ぎする事」 「俺も」ふふふふ ふんわり笑う。 恋人繋ぎと信号待ちでのキスを時々して海に着くまで過ごした。 「寒く無いか?」 明るい所で見ると白いファ-付きのコ-トがとても似合って、まるで天使見たいだった。 「寒~い!」 そう言って、俺の片腕に引っ付いて腕を絡ませ体を寄せて来るから、マジで可愛い。 手を俺のコ-トのポケットに入れ中で恋人繋ぎして、寒い冬の海を手を繋ぎ肩を寄せ合い歩く。 「寒い、寒~い」 言いながら俺に引っ付いて歩くミキにデレデレの俺。 寒い冬の海で、サ-ファ-が数人遠くで波に乗っているだけで、俺達の周りには誰も人が居なかった。 「あそこに座るか?」 階段の所に座り、海を見ながら途中の自動販売機で買った缶コ-ヒ-を飲む。 「あったかい~」 「寒いと尚更だな」 缶コ-ヒ-を口に含みミキにキスして咥内に流し込む。 車では軽いキスしか出来なかったから、濃厚なキスをそのまま仕掛ける。 舌を絡み合わせクチュクチュ…ヌチャヌチャ…音をさせ唇を離す。 「美味しかったか?」 「……はい。……お代わりって出来ますぅ?」 頬を染め上目遣いで、お強請りする。 可愛い、可愛い、可愛い過ぎる。 ギュッと抱き締め、それからコ-ヒ-を口に含み流し入れ、また濃厚なキスをした。 「ん…はぁ…んん」 キスの合間に息をしながら喘ぐミキ。 唇を離し額を合わせ 「愛してる」 「俺も」 目を見詰め微笑む。 それから、海がオレンジ色に染まり始め夕日が沈んでいくのを2人で見て、夏休みの海の事を思い出した。 「石垣島でも夕日見たな。夏とは違い冬の海の夕日も寒い中に温かみを感じるな。これはこれでいいな」 「俺も今、石垣島の事を思い出してました。一緒ですね」ふふふふ 少し夕日を見て話してたが、寒くなったからと散歩しながら車までゆっくり歩く。 帰る車の中でも手を繋ぎ時折キスし、イチャイチャが止まらない。 「ミキ、夕飯食べて帰ろう。何食べたい?」 「ん~、寒かったからラ-メンとかどうです?」 「俺は構わないが、ミキのドレス姿ではラ-メン屋で浮くんじゃ無いのか?」 「ん~、別に服が食べるわけじゃないけから俺は平気ですよ。何かそう言われるとラ-メンが無性に食べたくなるぅ。行こう、ね。伊織さん」 子供みたいに無邪気な顔で話す。 「解った。じゃあラ-メン屋な」 俺は温まる物と思いミキはドレス姿だし、中華とかどうかと思ったが、ミキが気にしないならいいか? ラ-メン屋に着き「美味しい、美味しい」「温まるぅ」と蔓延の笑みで話すが、完全に周りからは浮いていたのは言うまでも無かった。 俺は密かに心の中で、余りのアンバランスさとミキの無邪気さに笑っていた。

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