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第211話

「おはようございます。上野さん」 「おはようございます」 「今日は、誰も居ないのか?」 「はい、皆んな出払ってますね」 「挨拶回りか。上野さんも今年僅かですが、最後まで皆んなのフォロ-宜しくお願いします」 「はい、任せて下さい」 上野さんの返事に安心する、流石ベテランだ。 自席に座りボ-ドを見ると、田口は業者回り.出版社か、佐藤も業者回り、ミキもか。 2~3日は外回りで直行直帰だろう。 暫くは課も寂しいなと感じて、自分の仕事に取り掛かる。 誰も居ない課は静かだった。 その2~3日で主要な業者にも俺から年末の挨拶をし、G&Kと京都のサンダル業者.竹細工業者と次々と電話で挨拶していく。 千葉の工場.京都の工場と年末の挨拶し、京都の工場ではト-トバッグの生産量や在庫も確認し、工場長に捕まり長電話になったが、想定内の事だから、わざと次の日に電話をした。 午後からは電話対応.全体の売上.シェアの確認.各自の売上や利益等パソコンと睨めっこして過ごした。 夜は直帰しているミキに、初日はLINEし、次の日は我慢出来無くなり、声だけでも聞きたくなり電話をして癒される。 もう、今日で3日目だ。 多分、直行直帰も今日で終わるだろうと、その日はアメリカ支社に電話し、年末の挨拶とハワイ.西海岸.NYにト-トバッグの在庫を多くするよう伝えて電話を切った。 一応、これで大まかな所には挨拶したな。 日本がお正月休みで旅行に行きそうな所には、売上を見越して在庫を多めに送る事にしていた。 今の所、アメリカ限定で売出してる事で、売れると俺は見込んでいる。 今年も仕事納めの明日は、皆んな出社するだろう。 3日振りにミキの顔を見れると思うと、午後からの仕事も張合いが出る。 その日の夜も我慢出来ず、疲れているだろうと思うが電話をした。 ♪♪♪♪…… 「はい、お疲れ様です」 「ミキもお疲れ。もう、挨拶回りは終わったか?明日は?」 「はい、終わりました。結構、移動するだけでも時間が掛かったりと大変でしたが、色々教えて頂いたり勉強になりました。明日は、出社します。7時から忘年会も有りますし」 「そうか。3日間誰も居なかったから、課も寂しかったぞ。明日は、3日振りに皆んな揃うな」 「はい」 「個人的には、3日もミキの顔を見て居ないからミキ不足で倒れそうだった。早く会いたい」 「伊織さん、遠慮せずに会いに来てくれて良かったのに」 クスクス…クスクス… 「いや、疲れているだろうし、会うと我慢が効かず…ミキが動けなくなるだろ?仕事に支障きたすと思って我慢した。次の日が、内勤とかなら遠慮無く会うが……それも今日で終わりだ。俺の忍耐力に感謝してくれよ。その代わり、2人っきりになっなら、ミキを思う存分補充させてくれ」 「俺も会いたかったのに……。俺の事考えてくれて、ありがとうございます。思いっきり甘えて下さいね」 クスクス…クスクス… 「片時も離れず甘えるとするか。くっくっくっ……もう、こんな時間だ。じゃあ、明日会社で。早く寝ろよ」 「はい、おやすみなさい」 「ん…おやすみ。愛してる」 「俺も」 「愛してると言ってくれないのか?」 「愛してます。大好き」ふふふ… 「これで、ゆっくり寝れる。おやすみ」 「はい、おやすみなさい」 まだ、話してイチャイチャしたかったが、我慢が効かなくなり会いに行ってしまうと、名残り惜しいが電話を切った。 明日3日振りに会えるんだ。 喧嘩した時や誤解があった時も、会社では顔を毎日見れていた。 仕事だと解っているが、3日も会えず顔も見れないのが正直限界だった。 毎日、ほんの少しでも顔を見ないと、俺の心が砂漠のように乾いていく……逆に、顔を見て話すだけでも癒され満たされる。 もう、骨の髄まで惚れてるな。 たった数日会えないだけで……。 早く会いたい.1分1秒でも早く。 そう思いながら、明日を楽しみに寝室に入った

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