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第212話

「「「おはようございます」」」 「おはよ」 俺が出社すると元気に挨拶され、皆んな揃ったなと俺も挨拶する。 3日振りのミキに目を細め、知らず知らず微笑む。 今年最後の朝礼。 「ん、久し振りに皆んな揃ったな。今日で、今年最後だ。午前中までに、上野さんに経費の清算しておくように。午後3時から3日間の外回りでの業者の話を聞きたいから、会議室に集まってくれ。あと、今日は忘年会があるから、6時には業務終わらせておく事、遅れる訳にはいかないからな。最終確認して机の上も片付けろよ。特に佐藤。以上だ」 今日は、全員内勤で3日間不在の時の電話対応やメ-ルの返信に追われ、経費の清算もし忙しそうだ、久々に課に活気が戻った。 「よし、3時だ。会議室に集まれ。上野さん、すみません留守お願いします。緊急の場合は遠慮なく言って下さい」 「はい」 上野さんに留守を頼み、会議室に移動する。 皆んなが席に着いた所で、会議が始まった。 「揃ったな。じゃあ、この3日間の業者からの要望や苦情など何でも良い報告してくれ。じゃあ、田口から」 「はい。私は主な業者と懇意にしている出版社に挨拶がてら顔を出して来ました。特に、苦情とかは有りませんでした。G&Kの食器関係の生産も順調ですし。ただ、出版社の方から年明けにても、日本向けの雑誌で主にOLが読むような女性誌に、アメリカで流行ってるト-トバッグを掲載させて欲しいと言われました。一応、アメリカのみ現在販売している旨は話して、国内ではまだ予定が無い事は伝えましたが、サンプルで写真撮らせて欲しいとの事。今回はアメリカで流行しているという事で掲載したいらしいです。1度、社内に持ち帰り年明けに連絡する事にしましたが」 「それで、田口はどう考えてる?」 「私としては、掲載して貰い国内でも認知して貰えれば、海外旅行の時にお土産とか自分用にと販売に繋がればと思ってます。特に、アメリカしか売ってないとなると尚更欲しくなるんじゃ無いかと、直接買いに行か、行く事は出来なくっても、今はネットも有りますから」 田口の回答に暫く考えて 「そうだな。掲載して貰う方向で考えよう。田口の言うように買いに行くのは難しくっても、ネットがあるからな。本格的に決まったら、アメリカ支社にネット販売するようにして貰うか。その時は国内ではネット販売計画と言う事を明記して貰え。後、国内向けだけじゃ無く海外向けもの雑誌にも一緒に掲載する様に交渉しろ。この件は田口に任せるが報告はしてくれ」 「はい、解りました」 「次、佐藤」 「はい。私の所は、竹細工業者は今年は助かったと喜んでました。また、引き続き大量生産出来ないが、いつでも要望に応えられる様にしてくれると話してました。紙関係やガラス工房は例年並みなので特に苦情も有りませんでした。後、京都の竹細工業者は、ト-トバッグのお陰で忙しく嬉しい悲鳴を上げてると喜んでました。紹介してくれた工場長にも感謝してると言ってました。また、来年度も引き続きお願いすると電話でご挨拶しました。以上です」 「そうか。来年度は少し紙関係とガラス工房も何か考えないとなぁ。じゃあ最後、香坂」 「はい、私も主な業者さんに挨拶回りして、千葉の工場にも顔出して来ました。京都の呉服屋さんや問屋さんには電話でご挨拶しました。やはり着物関係が苦戦してると愚痴が溢れてました。後は、手拭い業者さんは例年の3倍の売上で喜んでました。特に大きい苦情はありません」 「そうか、手拭いは良い例になった。着物関係は、中々難しいが何とかしないとな、来年度の課題だな」 「はい、何とか考えてみます」 「よし。報告は、皆んな終わったな。俺からはト-トバッグ関係の業者と工場関係.G&K.アメリカ支社に挨拶した。アメリカ支社には、正月休みでハワイやNYと観光地に多めにト-トバッグの販売をするように指示した所だ。田口の報告で年明け早々にでもアメリカ支社にネット販売の方向で話しておく。今年は、俺も赴任して来てまさか企画から生産まで出来るとは思わなかったのが本音だ。実際、来年位には、課を挙げて何かしようとは考えていたんだが、予想より早く実現出来たこれも皆んなのお陰だな。来年もどんな事でも考え付いた事は遠慮せず話してくれ。他には、無いか?」 「「「特に、ありません」」」 「そうか、来年も宜しく。じゃあ、これで会議は終わりにする。6時には出るから、そのつもりで仕事しろ」 「「「はい」」」 会議室を出て、6時に出る予定で雑務をこなし、皆んな揃って、忘年会に参加する為に退社した。 これで今年の仕事納めだ。 明日からのミキとの正月休みに、胸を躍らせて歩いていた。

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