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第214話

宴会も1時間を過ぎ、それなりに盛り上がっていた。 あれから何とか中山課長と杉山課長を巻き込んで、部長の相手をしていた。 部長の長話.自慢話しに疲れを感じていた。 部下達は、始めは課内で集まっていたが、1時間もすれば酒も進みバラけていた。 田口も佐藤も他の課の人と話しているし、上野さんも少ない女性陣が集まり話していた。 ミキは?と見回すと、多分、同期と思われる数人で、隅の方で話し込んでいた。 楽しそうに笑い合い、時には顔を近づけて話し肩も組まれたりと、普通の男同士で良くある光景だと思うが俺にはそう見えない。 何だ、馴れ馴れしく触りやがって、ミキもあんなに近づいて話す事無いだろうと見てると、ミキの耳元で話す姿を見えて、内心ムカムカしていた。 そんな時に、入口から女の子が2人入って来た。 誰だ?海外事業では見た事無いぞと思っていると、ツカツカと部長の両隣に座り、部長に挨拶している。 つまり、俺と部長の間に1人、杉山課長と部長の間に1人と、何だか厚かましいなと思っていると 「部長、お言葉に甘えて来ちゃいました」 「部長、飲んでますか?」 両隣から話し掛けられ、デレデレしている部長に声を掛ける。 「部長、どなたですか?」 「ああ、成宮君は知らないか。事務の子達で、今日、海外事業の忘年会すると話したら、是非参加したいって言ってきてな。女性が少ないから良いかと思って許した」 はあ~、他部所が何で?勝手に決めるなよと思ってると、俺の隣の女の子が俺に挨拶を始めた。 「事務の高木由紀です。入社2年目です、5階で働いてるので、同じ会社でも話す機会が無いので、部長にお願いして来ちゃいました」うふっ もう1人も 「同じく入社2年目で、事務職の宮田沙知です」 挨拶されたので一応 「今年、アメリカ支社から転勤で、1課に配属になった成宮です」 高木って子が部長にお酒を進めながらも、俺に話し掛けてくる。 「成宮課長の噂は聞いてますぅ。アメリカ支社での話し聞きたいで~す」 あ~、面倒なのが来たな。 俺は、女でも特にこういう自分が可愛いと思って、それを武器にしてる女が1番嫌いだ。 何を勘違いしてるのか?こういうタイプは落とせない男は居ないと思ってるのが鼻に付く。 部長の手前、適当に相手して時間を見て田口の所にでも行こうと考えて、それまで少しの間辛抱して話せば良いかと安易に考えていた。 中東に1人とアジアに2人同期がいて、同じ海外事業でも、中々、飲む機会も無いので誘われて隅の方で飲んでいた。 同期って言う事もあり、仕事の悩みや愚痴を聞き、社内での話しを色々話してくれた。 「香坂は忙しそうだから、同期で集まって飲む時に誘い難いんだよな。この間も断れたし」 「ごめん、ごめん。俺、仕事の要領が悪いから。また、懲りずに誘って欲しい」 そんな時に入口がガラッと開き、女の子が2人入って来た。 軽くお辞儀をし、直ぐに部長の両隣に座って話し始めたのを見て 「どこの課?」 海外事業では、見ない顔に不思議に思い聞くと、同期でも顔が広い鈴木が教えてくれた。 「ああ、5階の事務の子達だよ。確か、入社2年目だったはず。あの2人、社内の飲み会に次々と顔だして、自分のタイプや落としたい相手に積極的にいくらしいぜ」 「へえ~、凄えな。何、結婚相手探してんの?」 「それも一理あると思うけどな。なんでも、落とし相手と暫く付き合って、もっと条件の良い男がいたら乗り換えて落とすらしい。結構、5階では、有名な話らしいぞ」 「でも、そんなに有名な話しなら、解ってるのに落ちるんですか?」 「解ってても、酒の席だからな。色んな手使うらしいぜ。酔わせてホテルとかな」 「マジ。それならそれで、ヤリ捨てでも良いんじゃねぇ?」 「解んねえけど、そこは上手く女の方がやるんじゃねぇ~の。あんなのに引っかかるとロクな目に合わねぇからな。気を付けろよ」 「凄えなぁ」 「女も怖ぇ~」 皆んなの話を聞いて、俺もそんな子居るんだと妙に感心していると 「おい、見てみろよ。今日は、成宮課長が狙われてるぞ」 皆んなでさり気なく見てるから俺も見ると、課長にベタベタとボディ-タッチして可愛い姿で話していた。 「さて、成宮課長どうするかな?お待ち帰りするのか?されるのか?それとも、軽く遇(あし)らうのか?見ものだな」 俺はついムキになり 「うちの課長に限って、そんな事しないと思う」 「香坂は、世間知らずだからな。男と女だし酒入ると、どうなるか解んねぇもんだよ。ま、俺も成宮課長は、あんなのに引っかからないとは思うけどな」 そうだよ、伊織さんはそんな人じゃ無いし、大体女の人はダメなんだから、大丈夫.大丈夫と自分に言い聞かせるが、ついついチラチラ見てしまう。 それぞれの心の中は、複雑なまま宴会は続いていく。

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