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第215話

「さて、宴もたけなわだが、そろそろ終わりにするか?皆んな今年も良くやってくれた。来年も今年以上の活躍を期待している。----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------であるから、来年も元気な姿で会社で会おう。今日は、海外事業としても言う意義な会であった。また、機会を見つけて、こう言う席を儲けよう。良い年を迎えてくれ。来年も宜しく頼む。これで、締めの挨拶としよう」 乾杯の挨拶も長かったが、永遠に続くかと思う程、長かった締めの挨拶もやっと終わった。 結局、最後の最後まで俺と部長の間には、事務の高木由紀がずっと居座っていた。 一緒に来た宮田沙知は20分程で、意中の相手が居るのか?アジア担当の男性陣の方で飲んでいた。 俺も適当に相手をし時間を見て、田口達の所にでも合流するつもりで席を立とうとした時に 「成宮課長、どこ行くんですか?」 「いや、少し課の者とも飲もうと思って」 「そんなぁ~。いつでも飲めるじゃないですかぁ~。ね、部長。そう思いませんかぁ~」 「成宮君、ま、偶には私とも飲もうじゃ無いか?こう言う機会でも無いと、中々、成宮君は忙しいからな。高木君もこう言ってるし」 部長に言われると仕方無い。 これがサラリーマンの辛い所だ。 「解りました。部長こそ、お忙しいですからね」 はあ、どっかに行ってくれよ~、マジうざい女と思いながらも顔に出さず、席を立とうとした体勢から座り直した。 「そうですよぉ~。私は、5階ですし、忙しい成宮課長と飲む機会なんて無いんですから。ゆっくり話を聞かせて下さいよぉ~」 高木は、それから部長とも適度に話を振りながら酔ったのか?それとも酔った振りなのか?俺の方に、さり気なくにじり寄り、腕や肩にベタベタ触り足もさり気なく触れる様に密着してきて、声も1オクタ-ブ高くなり完璧に俺狙いだと解る。 俺もさり気なく距離を置いたり、部長に話を振る事で壁を作る様にしていたが、あからさまな態度は避けていた。 会社の人間という事で、波風を立てたく無いのが本音だ。 そんな攻防の苦痛も、どうにか終わる時間だ。 全然、楽しめなかった、逆に疲れた。 ああ、早く帰ってミキと話がしたい.声を聞きたい.この腕に抱きしめて癒されたい。 こんな場面を見られたらキャバクラの二の舞だ。 ま、俺が女をダメな事は言ってあるから、今回は、そんな事にはならないと思うが、ミキに少しの心配も不安な思いもさせたく無い。 そんな俺の複雑な心情の中、部長の長い挨拶と共に、忘年会も終わりを告げた。 帰り際に部長に挨拶し、その時に2次会も誘われたが、次の日に予定があると丁重にお断りし、中山課長と杉山課長にも挨拶し、ごった返す入口で田口と佐藤を見つけ「正月休み、風邪引くなよ。今度会うのは、年明けだな。元気に出社しろよ」声を掛ける。 「はい。課長、帰るんですか?」 「ああ」 「じゃあ、今年はこれで。来年も宜しくお願いします」 「課長も風邪引かないで下さいよ。良いお年をお迎えください」 「ああ」 一緒に居た上野さんとミキにも声を掛ける。 「上野さん、帰るんならタクシーで送りますよ」 「帰りますけど。いつも申し訳ないですから、電車で良いですよ」 「タクシーで帰るつもりなんで、一緒の方向ですから遠慮しないで下さい。香坂も帰るなら一緒に」 ミキにだけ解るように、2次会には行かないで帰るぞと案に伝える。 「じゃあ、お言葉に甘えちゃおうかしら。香坂君も帰るなら一緒に送って貰いましょう」 「じゃあ、良いですか?課長」 「1人で乗るのも3人乗るのも料金は一緒だ。遠慮するな」 「じゃあ、お願いします」 「解った。じゃあ、田口.佐藤。2次会行くなら程々にしろよ。来年な。上野さん.香坂、タクシー捕まえられる所まで」 田口と佐藤と分かれ歩き出すと、数メートルで後ろから呼ばれた。 「成宮課長。待ってぇ~」 振り返ると、あの高木由紀が小走りで向かって来ていた。

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