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第227話

ロ-タ-を後孔に入れた状態で部屋を出て、道を2人で並んで歩いている。 あれから数分しか経って無いのに、俺は後悔し始めていた。 部屋を出てエレベ-タ-で降りエントランスで急に伊織さんは、掃除をしている管理人さんに声を掛けた。 「お疲れ様です。寒いのにご苦労様。所で、俺宛に荷物とか届いて無いですか?」 「寒いですね。荷物ですか?ちょっと、待ってて下さいね」 暫くして、管理人さんが戻ってきて 「届いてませんが?荷物届く予定があったんですか?」 「あっ、そうだ。すみません。俺の勘違いでした」 「そうですか。また、何かありましたら遠慮なく言って下さい」 「いつも、すみません」 そんな2人の会話を、少し離れた所から見ていた。 その間も、ロ-タ-が気になりスイッチは、まだ入っていないけど…管理人さんに、そんな破廉恥な事をしてるのが解るんじゃ無いかとヒヤヒヤしていた。 服を着てるから解る訳が無いのは解ってるけど……小心者の俺は、羞恥心でドキドキしていた。 伊織さんは、そんな俺の事を知ってか知らない振りをしてるのか呑気に話しをしている。 「おい、ミキ?行くぞ」 話しが終わったのか?声を掛けられエントランスから外に出た。 お尻の中に異物感を感じ、普通に歩けてるか不安になる。 やっぱり、止めれば良かった、凄く恥ずかしい。 あのまま、伊織さんに何とかお願いすれば許してくれたかも……と考えていた。 「なんか、小腹が空いたな。いつものパン屋でなんか買って公園で食べるか?」 「えっ、寒いのに公園で食べるんですか?だったら、買って部屋で食べましょう」 ただでさえ、恥ずかしいのにお店に入るなんて……お腹空いてるなら仕方無いかと思い直し、あわよくば、部屋に戻れるかもと淡い期待を込めて話す。 「風は冷たいけど天気良いし、歩いてれば体も温まるだろう。公園で食べよう」 淡い期待は木っ端微塵に消えた、がっかり。 「………はい」 マンションからは、公園の方が近いしコンビニもあるのに、わざわざ「いつものパン屋が良い」と言うから、少し歩く事になった。 パン屋さんの前に着いて、凄く良い匂いと店内で美味しそうなパンを前に少しの間だけ異物の事は忘れていた。 美味しそうなパンを2~3個選んで精算しに行く伊織さんの後を着いて行き、背後で待ってると中に入っていたロ-タ-がブルブル…と震え、直ぐに切れるが忘れていたのもあり、予期せず突然の事で声が出てしまった 「ひやぁっ」 「どうした?」 スイッチ入れた癖に惚ける伊織さん。 「どうかなされました?大丈夫ですか?」 いきなり声を出した俺に驚いて、店員さんが気遣い、声を掛けてくれた。 「すみません。何でも無いです」 「美味しそうなパンに、待ちきれなくなったか?」 くっくっくっくっ……… 笑う伊織さんを睨んで、先に店を出た。 外で待ってると、精算した伊織さんが「さて、公園に行こうか」と言い歩き始める、その後を無言で着いて行く。 歩き始めると異物感がまた気になり始め、歩く度に気のせいか奥へ奥へと入っていく様な気がする。 もう少しで、公園と言う所で 「コ-ヒ-でも買うか?」 近くのコンビニに入って行く。 初めからコンビニで済ませてもよかつたんじゃ無いかと思ったけど、後を着いて行く。 缶コ-ヒ-を2つ手に取り会計する時に、またスイッチが入って直ぐに切れるが、思わず声が出てしまった。 「あっ」 「何?他に欲しい物でもあるのか?」 顔を上げられなかったから俯き、横に首を振り先に店外に出て待った。 店から出て来た伊織さんを睨んで 「わざとですか?」 「何の事だ?」 「惚けないで下さい。パン屋さんの時も今も店の中でスイッチ入れたでしょ?」 「はっ、知らねぇぞ……ちょっと待て」 ポケットをゴソゴソして 「あ~、そう言う事か。成る程な」 「な、何?」 「財布とスイッチを一緒に入れてたからな。それで財布を取る度に何かの拍子で、スイッチに触ったんだな。今から、別にしておくから。悪かった、ミキ。知らなかったとは言え、スイッチ入った時は驚いただろ?それと、スイッチ入れる時は言うから安心しろ。ミキも俺の願いの為に、頑張ってくれてるんだからな」 「………疑ぐって、すみません」 俺の頭をポンポンし 「気にするな。勘違いは誰にでもある。それより公園は直ぐだ。コ-ヒ-冷めない内に行こう」 勘違いして疑った俺を怒りもせずに、公園に歩いて行く後ろ姿を見て、疑ぐったのが申し訳ない気持ちでいっぱいになった。 少し先に歩く伊織さんを、小走りで追いかける。

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