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第234話
先に起きた俺は、ミキの綺麗な寝顔を見ていた。
起こすか少しだけ寝かせてやるか迷っていると、5分程で「ん、ん~」目が覚めたようだ。
「おはよ」ちゅっ。
「おはようございます。早いですね」
「そろそろ出発しようか。長旅になるしな」
「はい。あっ、明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願いします」ちゅっ。
そうか、年明けたんだな。
ミキとの旅行で、頭がいっぱいだったな。
「おめでとう。俺の方こそ宜しくな。そうか、年明けをミキと過ごせたんだな」
「伊織さんと一緒に過ごせて嬉しいです」
「俺もだ。ま、できれば、俺の息子にもミキの中で過ごさせてやりたかったが、それは、また来年だな」
くっくっくっくっ……
冗談半分本気半分だが、ま、俺はやる時はやる男だからな。
「い、伊織さん。年明けから下ネタですか?今年も思いやられそうな予感がします。そちらも程々にお願いしますよ」
クスクスクスクス……
「ミキ、次第だな」
「俺次第って……結局最後は、伊織さんの思う通りになるんですから…伊織さん次第です」
「バレたか?賢くなってるな~」
「俺だって学習してますよ~。伊織さんの性格も熟ししてますからね」
「今年は、尻に敷かれそうだな」
「覚悟して下さいよ~」
ははははは……
クスクスクスクス……
見つめ合い笑い出す。
ミキの部屋で、穏やかに迎えた年明けだった。
ミキと出会えた去年は、俺にとっては人生最良の年だった。
去年は、俺に幸せを齎(もたら)してくれたミキに感謝だな。
その分、今年は、俺が倍に幸せにすると密かに誓う。
今年、初めてのイチャイチャで迎えられ、今年の俺達の明るい行方が感じられた。
「寝てて、いいぞ」
まだ、暗い朝方に起き、京都へ行く為に車を走らせていた。
膝にぬいぐるみを乗せて眠い目を擦り
「ん、大丈夫」
「そうか?眠くなったら、気にせず寝て良いからな」
「はい、伊織さんは大丈夫?」
「ああ、俺は熟睡出来たからな。ミキの胸の中で」
「甘える伊織さんも、新鮮で可愛いかったですよ」
クスクスクス……
「俺がか?可愛いなんて言われた事無いぞ。なんだか、むず痒いな」
「いつもは頼り甲斐があって男らしいけど、昨日は俺の胸に顔を擦りつけてきて可愛いかったなぁ。なんか、ご主人様に甘える大型犬みたいだった」
クスクスクス……
「犬かよ~」
「ん~、シベリアンハスキーかレトリバーかな?」
クスクスクスクス……
「昼はご主人様に甘える忠実な犬で、夜は犬の皮を被った狼になるからな。今夜、ご主人様の体に嫌って程解らせてやるからな」
くっくっくっくっ……
「え~、どうして?そんな話しになるんですか?夜も忠実な愛犬でお願いしますよ~」
「無理だな。ご主人様のフェロモンを敏感に嗅ぎ取って興奮する」
くっくっくっくっ……
「そんなぁ~、フェロモンなんて出して無いですよ。なんか、俺が変な液体出てるみたいじゃ無いですか~」
「俺専用のフェロモンがな。そう言えば、犬は1回繋がると全部の精液を出し切るまで離さないそうだぞ。それこそ1晩中やるらしいからな。覚悟しておけよ。俺はなんてったって犬だからな」
くっくっくっくっ……
「嘘、嘘です。犬じゃありません。伊織さんはとても常識を持った人間です………体…持ちません」
はははは……ははは……
「本当に、ミキと居ると癒される」
ジト~っと俺を見て
「揶揄ったんですね?んもう。……伊織さんなら遣りかねないもん」
「俺はいつも有言実行だからな。ご主人様が望めば俺はいつでもOKだが」
くっくっくっくっ……
「だめ~。伊織さん、ハウス」
「ワン.ワン」
運転中の俺の頭を撫で
「良い子ですね~」
クスクスクス……
ははははは……
車の中は2人の笑いで溢れていた。
こうして京都までの、楽しいドライブが始まった。
「ミ…ミキ、おい起きろ」
肩を揺す起こすと
「んん…あっ、いつの間にか寝ちゃたんだ。ごめんなさい。もう、着いたんですか?」
「いや、半分は過ぎたかな?流石に、腹が空いたからサ-ビスエリア寄った。休憩がてら、何か食べよう」
あれから楽しく過ごしていたが、話してる内にミキの頭がこっくり.こっくりとし出し、話していても返事が無かったりしてきたから、そのまま静かに寝かせて置いた。
俺は、時折、ミキの寝顔を見たり音楽聞いたりして5時間ほど運転したが、流石に疲れたから大きめのサ-ビスエリアで休憩を取る事にした。
車を降りて、館内を覗くと結構店が多い。
「伊織さん、結構大きい所ですね。お店見るのも楽しみ」
「後で、少し周ってみるか?その前に、腹ごしらえだ」
「はい」
休憩がてら、朝食兼早めの昼食を食べエリア内の店を回り、ミキは食べたばかりなのに「あれ美味しそう」「これも美味しそう」「残念、今、お腹いっぱいで食べられない~」と楽しそうに店を周っていた。
子供みたいに、はしゃぐミキが可愛く俺は微笑んでいた。
30分程エリア内を見て周り車に戻った。
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