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第236話
ちょっとしたゴタゴタがあったが、あれから車を飛ばし、時折、休憩がてらサ-ビスエリアに寄り(もう、片時も離さなかった) ミキも運転すると言うので代わり初めは緊張して口数も少なく真剣な目で前だけ見て走らせていたが、慣れてくると
「やっぱり、高級車は静かですね」
「安定感が違いますね」とはしゃいでいた。
「今まで、傷つけたら嫌だって言って運転しなかったのは、誰だったかな?もう、これでミキも運転できるな。俺も飲んだりした時は、ミキを呼べるから助かる」
「えへへ。今までは、必要に駆られ無かったから。流石に、京都まで長いし伊織さん1人に運転させるのは申し訳ないから。でも、もう大丈夫です。伊織さん、いつでも言って下さいね」
自信が付いたのか、それから2時間程運転していた。
それからまた、俺が運転をし京都に着いたのは、午後3時頃だった。
「やはり、京都は遠いな。どうする? これから、宿に直接行くか? それとも、少し何処か寄るか?」
「宿に行って、少しゆっくりしましょう」
「解った。もう、ここまで来れば宿までは、あと少しだ」
車を走らせ、人里離れた宿に向かう。
宿の部屋に案内され、仲居さんが館内の説明をし
「夕食は、何時頃お持ちしますか?」
「そうだな。7時頃で、お願いします」
「解りました。1度、お持ちする前に内線入れますので。それでは、ごゆっくりとお寛ぎ下さい」
「ああ、ありがとう」
出て行く仲居にチップを渡し、やっと2人に慣れた。
ミキは部屋を見て回り、部屋付きの露天風呂を見付け
「伊織さん、露天風呂有りますよ。凄い。こんなお部屋泊まった事無いです。お部屋も凄いですけど、旅館自体が敷居が高そうで」
2泊3日で予約した旅館は、中々の値段の宿だが本館の他に離れが幾つかあり、それぞれ部屋付きの露天風呂がある宿を選んだ。
ミキの体を、誰にも見せるつもりは毛頭無い。
だから、離れの部屋で露天風呂付きで、ゆっくり誰にも邪魔されずに入りたかった。
前回、仕事で来た時に、今度は冬の貴船神社を見せて寒くなった体を、ミキとゆっくり露天風呂に浸かりながら冬景色を見るのもいいなと、必ず連れて来たいとずっと思っていた。
「それなりにな。折角来たんだから、誰にも邪魔されず誰の目も気にせず過ごしたいと、離れと露天風呂付きにしたんだ。後で、ゆっくり入ろう」
雪景色の中で、湯煙りが出てる露天風呂を見て
「はい、気持ち良さそう。今から楽しみ~」
「そうだな」
ミキから見えない所で、露天風呂でゆっくり浸かりミキを引き寄せ、あんな事やこんな事をするのもいいと、1人妄想していた事は内緒だ。
ニタニタとミキの後ろ姿を見ていた。
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