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第238話

露天風呂から上がり部屋に戻ると、タイミング良く内線が鳴った。 「ミキ、夕飯来るぞ」 「はい、あ~気持ち良かった。雪景色の中で入るお風呂って良いですね。体は温かいけど顔の方は寒いから、いつまでも入っていられる感じします」 「解るが逆上せるなよ」 ピンポン♪ 「来たな」 部屋を開けると、テ-ブルに手際良くご馳走が並ぶ。 「お食事済みましたら、内線でご連絡下さい。片付けに参ります。それでは、ごゆっくり」 仲居が部屋を出ていくのを待って席に着く。 お膳には、かぶらの白味噌添え.水菜のロ-ストビ-フサラダ.ふぐの唐揚げ.3品のお刺身.お吸物.握り寿司.1人用ふぐ鍋.デザ-トには抹茶アイスと彩り良く食欲を唆る 「うわぁ~、凄いですね。美味しそう」 目をキラキラ輝かせ子供みたいなミキに 「まずは、乾杯しよう」 日本酒は、ミキが飲み慣れて無いから、白ワインを頼んでいた。 「はい」 「楽しい旅行にしような。乾杯」 「伊織さん、ありがとうございます。凄く嬉しいです。乾杯」 カチンッとグラスを合わせる。 「凄く、飲み易いですね」 「そうだな。ほら、お腹空いただろ?食べよう」 「はい。どれから手をつけて良いか?迷っちゃうなぁ」 そう言いながら、かぶらの白味噌添えから手をつけ、幸せそうな顔で食べる。 「伊織さん、凄くお出汁が染みてて、美味しいですよ~」 「そうか、そうか。幸せそうに食べるなぁ」 「だってぇ、美味い物食べてる時って、幸せに感じません?伊織さんも飲んで無いで、食べて下さいよ~」 「解った、解った」 ミキお勧めの、かぶらの白味噌添えを1口食べると、柔らかく出汁が効いて本当に旨かった。 「本当だな。出汁が効いて美味い」 「でしょ.でしょ。伊織さん、ふぐの唐揚げも絶品ですよ。はい、あ~ん」 まったく、可愛い事を無自覚でするんだよな。 俺の口の前に、ふぐの唐揚げを食べろと持ってくるが俺の目の前のテ-ブルにも全く同じ物があるんだが……と、思いながら口を開けて咀嚼する。 「ふわふわで美味いな」 「でしょ.でしょ。初めて、ふぐの唐揚げ食べました。美味しいとは聞いてましたけど、こんなに美味しいとは、思わなかったです」 ふふふふ…… 「鍋も美味いぞ。食べてみろ」 「わぁ~、本当だ。美味しいぃ.ん~幸せ」 本当に幸せそうな顔で食べるから、こっちも嬉しくなる。 ゆっくりと食事を堪能しワインも飲み、腹もいっぱいになった。 「ふう、美味しかったぁ~。たくさん食べちゃいました」 「どれも美味かったな。ワインだけ残して貰って片付けて貰うか。その方がゆっくりできるだろ?」 「はい。お腹いっぱいで、横になりたいかも」 「だな」 後は、2人っきりの時間を邪魔されず楽しみたいと、内線を掛け片付けて貰った。 隣の寝室のベッドで、横になってゴロゴロしてるミキの所に行き 「片付けて貰ったぞ。朝食は、大広間でバイキング形式みたいだ。6~9時の間に、行けばいいみたいだ。適当に、起きた時間で行こう」 「はい。伊織さん、少し酔いました?顔が赤いですよ?」 「ん…腹もいっぱいだし、飲んで疲れも出たかな」 「ずっと運転してたから……そうだ! 伊織さん、ここ横になって」 言われた通りに、ベッドに横になると 「マッサ-ジするから、うつ伏せ.うつ伏せ」 なんだか張り切ってるな。 うつ伏せになると、俺の腰辺りに馬乗りになり首を揉み始める。 「気持ち良い?」 「ああ」 首から肩に移り揉み解し、背中.腰と順番に揉み解す。 「どう?」 「う~、背中と腰が特に気持ち良い。自分では、何とも思わなかったが、結構、疲れてたんだな。ミキ、ありがとう。なんだか、楽になった気がする」 「本当?良かったぁ~」 俺が言ったからか?背中と腰を重点的に、揉み解してくれる。 凄く気持ち良くなり始め、腹もいっぱいと飲んだ所為で、うつら.うつら始出す。 腰から尻.太腿までは、何となく記憶があるが、その先から意識が無くなった。

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