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第239話
気持ち良さそうに話していたから張り切って、腰から太腿.脹脛.と順番に揉んでいた。
口数が少なくなり静かになったなぁと思っていたら、ス-ス-っと寝息が聞こえ始めた。
「伊織さん?」
揉んでいた手を止め顔を覗き込むと、疲れが出たのか?眠っていた。
その顔を暫く見て
「伊織さんの寝顔見るの久し振り。ずっと運転してたから、疲れが出たんだね。幸せそうな顔で寝てる」
ふふふ……
久し振りに見る伊織さんの寝顔は、目を瞑っていても男らしく、鼻も高く、少し大きめの口はエロティックだ。
こんな素敵な人が俺の彼氏なんて……俺には勿体無いな。
でも、誰にも取られたく無い。
少しでも伊織さんに相応しい人になれれば良いけど……責めて、並んで歩いても恥ずかしく無い位には……まだ.まだかな?
暫く眺めていたが、掛布団をそぉっと掛け、寝室を出た。
隣の和室でワインを少し飲み、露天風呂に1人で入り、雪景色と湯けむりで京都に来た事を実感した。
「あ~気持ち良い」
返ってくる言葉も無く独り言を発すると寂しく感じた
「やっぱり、温泉は2人で入った方が楽しいな」
寂しく、また、独り言になった。
十分に温まり露天風呂を出る。
俺も温泉に入って疲れが出たのかな?
急に眠気がきて寝室に入り2つのベッドを見て、どうしようか迷ったけど……まだ、眠っている伊織さんのベッドに、こっそりと起こさように横になる。
俺が横になると、俺を抱き締める伊織さんの手が背中に回る。
起こしちゃった?
抱きしめられ腕の中から、こっそり伊織さんの顔を見ると、規則正しい寝息をし目を瞑っていた。
寝てる伊織さんを見て微笑む。
無意識に俺の事を抱きしめるから。
もう、伊織さんの中で一緒に寝る事が、自然なんだと思うと、嬉しくなって微笑んでしまう。
それは俺にとっても同じ事だ、いつの間にか2人でいる事が自然になって離れると寂しく感じる。
温かく安心できる腕の中で強い睡魔に襲われる。
伊織さんの胸に抱かれ、心臓の音を聞いて「愛してる」と呟き、眠気に勝てず、そのまま眠りにつく。
その日は何故か?
大きい温泉で、浮き輪でぷかぷかしてる俺を伊織さんが引っ張って泳いでる夢を見た。
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