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第242話
甘味処で休憩し来た道を戻り、駐車場まで歩く。
その間も写メを、2人で体を寄せ合い頬を近づけ撮るラブラブっぷりだ。
車に乗り込み、次の行先を聞く。
「次は?」
「織成舘行きたい。全国の手織りも展示してるんですって。楽しみぃ~」
検索してるそのスマホを手に取り見る。
「北野天満宮もそう遠く無いな。そっちも回って見るか?」
「良いんですか?」
「色々、回れる為に車で来たんだ。折角だしな」
「嬉しいです」
ミキの嬉しそうな顔を見れるだけで、旅行に来た甲斐があると、俺は満足していた。
「さて、行先も決まったし出発するか」
「はい」
隣の助手席からは、清水寺."恋占いの石”.観光ストリートで撮った写メを見直して楽しそうに話しているのを聞きながら、目的地まで車を走らせた。
「着いたぞ。案外近かったな」
織成舘は、他のミュ-ジアムとは、やはり違い京都らしい建た住まいで外観は和風テイストだった。
「へえ、如何にも京都らしいな」
「粋な感じで、外国人受けしそうですね」
そんな感想を言い合い中に入り、受付を済ませ見学する。
全国各地から収集した手織り物が展示してあり、帯.着物.和装小物と結構見応えがあった。
仕事柄なのか2人ともじっくり真剣な面持ちで見ていた
ミキは1つの場所で足を止め、ジッと見つめていた綺麗な横顔に話し掛けた。
「どうした?」
そこには着物をアレンジした洋服が2着程飾ってあった
ん、仕事のヒントにでもなったか?
「ん~、着物の売上がイマイチなんで、俺も前から着物本来で売出すのは、もう厳しいのかと考えてて……着物を洋服にアレンジ出来るのは、知ってたんですが、布地が厚いから扱いづらいんですよね。それに、どうしても古典的な感じがして……」
完全に仕事モ-ドだ。
「そうだな。そのままでは限界だろ、一定の顧客があるにしても売上は横バイだ。何かガラっと変わる事をしないとな。ま、着物を洋服にアレンジは、誰でも考える事だが、それをどう生かすかだ。後はセンスだな」
顎に手を当て、展示品を見ながら考え込んでいる。
「……頭では、解ってるんですけど……」
「難問だな。着物業界でも頭を悩ませてる所だ。ま、これも1つのヒントとして考えて、今、悩んでも仕方無いだろ?今は、仕事で来てるんじゃない飽くまでプライべ-トだ」
「すみません、つい」
それでも館内の人に写メして良いか聞いて、他にも仕事のヒントになりそうな物を何点か写メしていた。
仕事熱心で感心する。
上司としては嬉しい限りだが、今はプライベ-トだって忘れてるのか?
それでも、ミキの真面目さが出ていると思い、その光景を微笑んで眺めていた。
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