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第249話
露天風呂から出て部屋に戻り、火照った体を冷ます為に、見もしないがテレビをつけ、買ってきて置いたチ-ズとチョコを摘みに、赤ワインを飲んでいる。
「伊織さん、なんかアッと言う間の2日間でしたね。もう、明日には、帰るんですね」
「そうだな。2日と言っても1日は来るだけで、殆ど潰れてしまったからな。観光も行けず近場で済ましたし夜は……俺が寝ちまったからな。充実したのは、今日だけだろ?」
「そんな事無いです。京都来るまでの車の中も、たくさん話出来たし楽しかったです。疲れてるのに、少しでもと思って近場に連れてってくれたんでしょ?その伊織さんの優しさが凄く好きです」
ワインで少し酔ったのか?それとも旅行最後の日で感慨深くなったのか?いや、旅行先の開放感だな。
いつもより饒舌に話している。
隣に座っていたミキが、俺の肩にコテッと頭を乗せる
キタ~。
話してる事もしっかりしてるし、表情も余り変わらないが酔ったようだな、甘えモ-ドだ。
こうなると、ミキの可愛らしさが増すぞ、今日は、どんな可愛らしさが見れるかな?楽しみだ。
肩に乗せた頭を撫でてやり
「そうか、ミキが楽しかったら、来た甲斐があった。また、来ような。今度は、どこに行くか?」
クスクスクス……
「まだ、旅行は終わって無いのにぃ。もう、次ですか?」
「ミキと色んな所に行ってみたいんだ。普段の買物とか街をぶらぶらとするのも、2人なら楽しいが」
「そうですね。お部屋でまったりしてたり、イチャイチャしてるのも大好きです」
肩から頭を上げ、俺の頬に可愛くチュッとキスし、俺の好きなふわりと蕩けるように微笑む。
ヤラレた~。
今のは反則だ、可愛い過ぎだと考えていると思わぬ行動を起こす。
残り少ない赤ワインを飲み干しテ-ブルに置くと、俺に躙(にじ)り寄り、俺の膝の上に向かい合わせになるように座り、浴衣が乱れるのも構わず足を腰に巻きつけ首に手を回し、ギュッと抱き付いてくる。
うわぁ~、参った。
可愛い.可愛い.可愛い.可愛い.可愛い過ぎだ~。
はあ~、どうしたら良いんだ?こんな可愛い事されたら理性保てるかな~?それに、微妙に下半身が密着してるし、困った。
俺が黙ったままなのに不思議に思ったのか?胸に埋めていた顔を上げ、上目遣いで見る顔が可愛い過ぎて犯罪だ。
酔って、さっきまでのセックスの余韻が残るトロ~ンとした目と赤い唇.火照った肌と表情で見詰められ
「伊織さん?大好きぃ~」
今、こんな状況でそんな可愛い事言うなよ~。
ウルトラ天然小悪魔を爆発させるミキ。
誘ってるのか?いいのか?顔には出さず動揺する俺。
「俺もミキが可愛くって仕方無い。愛し過ぎて怖い位だ。もう、ミキと出会う前には戻れない、虚しくなる。俺の側に居ないのは耐えられない。愛してるって、何百回も言って離れられなくしてやる」
思った事を正直に話す。
「伊織さんの愛しるって言葉に安心します。俺の方が伊織さんを離さないです。もっと、伊織さんに相応しくなるように、努力しますから側に居させて下さい」
まったく、このギャップだな。
見た目は、品があって綺麗で近寄り難い雰囲気なのに性格は、可愛く健気だ。
こんな奴どこにも居ない、離せるわけがねぇ~だろ。
「バカだな~。ミキは今のままで十分魅力的だ。これ以上魅力的になったら、俺の心臓が保たない。俺は、今のミキに溺れてる」
どっぷりハマって窒息死しそうだ。
「伊織さんの言葉にも態度にも出してくれる所が、俺には安心できて俺はここに居て良いんだって思えるんです。ありがと」
また、ギュッと抱きしめられる。
俺もミキの細い体を強く抱きしめた。
お互いの想いをアルコ-ルにのせて吐き出す。
たぶん、ミキは明日の朝には覚えて無いと思うが、俺はこの日の夜の嬉しい言葉の数々を決して忘れない。
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