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第256話

「ん、んん…ふあぁ~」 欠伸をしながら両腕を上げ伸びをし覚醒する。 自分の格好を見ると服を着たままだった。 「そうか、あのまま寝たんだな」 隣に眠ってる筈のミキの姿が無い。 「ミキ?」 どこに行ったか?と、慌てて起き寝室のドアを開けた途端、良い匂いがした。 「ミキ?」 声を掛けると、キッチンから声がする。 「おはようございます。起きました?」 「ああ、あのまま寝たんだな。ん~良い匂いがする」 「そろそろ起きて来る頃だと思って、有る物で昼食作りました。もう少しで出来るから、シャワ-浴びてきて下さい」 「解った」 浴室に向かい振り向くと、ミキはエプロンを付けて料理の続きをしていた。 脱衣所では、既に洗濯機が回っていた。 服を脱ぎながら「ほんと良い奥さんだ」と心底思った 軽くシャワ-を浴びてリビングに戻ると、テ-ブルには食事が用意してあった。 「旨そうだな」 「冷蔵庫の有るもので作ったから大した物じゃないけど、食べましょう」 「充分だ。いただきます」 「いただきます」 サラダとスープ.餡掛け炒飯と、どれも美味かった。 アッと言う間に食べ終わり、ミキが片付け物をしコ-ヒ-を俺の前に差し出して、座る暇も無く洗濯物を干し、部屋の掃除も始めた。 「ミキ、荷解きもしたのか?」 掃除の手を止めずに話す。 「はい。気になっちゃって。勝手に弄ってすみません。洗濯物だけでもと思ったんですが、空にしてバックは、クロ-ゼットの中に仕舞いました」 「いや、構わない。ありがと、助かる」 「伊織さん、疲れたでしょ?ゆっくりして下さい」 掃除機をかけ終わり、部屋を片付けてるミキに 「ミキ、もう良いだろう?いつまで俺を放っとく気だ?」 痺れを切らして、ミキを呼び寄せる。 「ごめんなさい。旅行で留守にしてたから」 自分の部屋の様に話すミキが嬉しく、俺の腕の中に抱き寄せ背後から抱きしめる。 「もう、動くな。このまま居ろ」 「もう、終わりです。夕飯の買い物に後で、散歩がてら行きませんか?」 「解った。今日は、何を作ってくれるんだ?」 頬擦りをし、肩に顎を乗せ話す。 「何?食べたいですか?」 「そうだなぁ~。京都は和だったから洋風がいい」 「じゃあ、久しぶりにハンバ-グにします?あっ鶏団子鍋は?寒いし、伊織さんが買ってくれたフ-ドプロセッサ-も大活躍です」 「いいな。そうするか」 夕方までイチャイチャ過ごし、散歩を兼ねての買い物に行き、やはりミキは食材をカ-トに慣れた手つきで迷いもせず入れ、会計も済ませる。 「主婦だな」と、呟いたのは秘密だ。 冷蔵庫に買ってきた食材を入れ、野菜をザクザク手際良く切っていく。 「ミキ、もう夕飯にするのか?」 「今日は鍋だから。野菜とか肉団子だけ準備すれば、いつでも作れるから。準備だけ」 「そうか」 キッチンで野菜を切りフ-ドプロセッサ-を使い、肉団子を作るミキの後ろ姿をジッと視姦し、手際が良いなぁ、あのプリプリした尻が堪らね~なぁ。 ああ、ミキがずっと居てくれたらなぁ~と、しみじみ思った。

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