256 / 858
第256話
「ん、んん…ふあぁ~」
欠伸をしながら両腕を上げ伸びをし覚醒する。
自分の格好を見ると服を着たままだった。
「そうか、あのまま寝たんだな」
隣に眠ってる筈のミキの姿が無い。
「ミキ?」
どこに行ったか?と、慌てて起き寝室のドアを開けた途端、良い匂いがした。
「ミキ?」
声を掛けると、キッチンから声がする。
「おはようございます。起きました?」
「ああ、あのまま寝たんだな。ん~良い匂いがする」
「そろそろ起きて来る頃だと思って、有る物で昼食作りました。もう少しで出来るから、シャワ-浴びてきて下さい」
「解った」
浴室に向かい振り向くと、ミキはエプロンを付けて料理の続きをしていた。
脱衣所では、既に洗濯機が回っていた。
服を脱ぎながら「ほんと良い奥さんだ」と心底思った
軽くシャワ-を浴びてリビングに戻ると、テ-ブルには食事が用意してあった。
「旨そうだな」
「冷蔵庫の有るもので作ったから大した物じゃないけど、食べましょう」
「充分だ。いただきます」
「いただきます」
サラダとスープ.餡掛け炒飯と、どれも美味かった。
アッと言う間に食べ終わり、ミキが片付け物をしコ-ヒ-を俺の前に差し出して、座る暇も無く洗濯物を干し、部屋の掃除も始めた。
「ミキ、荷解きもしたのか?」
掃除の手を止めずに話す。
「はい。気になっちゃって。勝手に弄ってすみません。洗濯物だけでもと思ったんですが、空にしてバックは、クロ-ゼットの中に仕舞いました」
「いや、構わない。ありがと、助かる」
「伊織さん、疲れたでしょ?ゆっくりして下さい」
掃除機をかけ終わり、部屋を片付けてるミキに
「ミキ、もう良いだろう?いつまで俺を放っとく気だ?」
痺れを切らして、ミキを呼び寄せる。
「ごめんなさい。旅行で留守にしてたから」
自分の部屋の様に話すミキが嬉しく、俺の腕の中に抱き寄せ背後から抱きしめる。
「もう、動くな。このまま居ろ」
「もう、終わりです。夕飯の買い物に後で、散歩がてら行きませんか?」
「解った。今日は、何を作ってくれるんだ?」
頬擦りをし、肩に顎を乗せ話す。
「何?食べたいですか?」
「そうだなぁ~。京都は和だったから洋風がいい」
「じゃあ、久しぶりにハンバ-グにします?あっ鶏団子鍋は?寒いし、伊織さんが買ってくれたフ-ドプロセッサ-も大活躍です」
「いいな。そうするか」
夕方までイチャイチャ過ごし、散歩を兼ねての買い物に行き、やはりミキは食材をカ-トに慣れた手つきで迷いもせず入れ、会計も済ませる。
「主婦だな」と、呟いたのは秘密だ。
冷蔵庫に買ってきた食材を入れ、野菜をザクザク手際良く切っていく。
「ミキ、もう夕飯にするのか?」
「今日は鍋だから。野菜とか肉団子だけ準備すれば、いつでも作れるから。準備だけ」
「そうか」
キッチンで野菜を切りフ-ドプロセッサ-を使い、肉団子を作るミキの後ろ姿をジッと視姦し、手際が良いなぁ、あのプリプリした尻が堪らね~なぁ。
ああ、ミキがずっと居てくれたらなぁ~と、しみじみ思った。
ともだちにシェアしよう!