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第259話

少し早めに着いた俺は、大将に新年の挨拶をし話をして過ごしていた。 「ミキ。久し振りぃ~」 店のドアをガラガラ~……と開け、俺に抱きつくマコ。 「マコ。元気だった?年末忙しくって、会えなかったからね。そうだ、マコ。今年も宜しくお願いします。昨年は、お世話になりました」 「こちらこそ宜しくお願いします。昨年もお世話しました」 「なにっ。昨年もって‘も’って何よぉ~」 「いやぁ~、手が掛かる子程、可愛いって言うじゃん」 「んもう、マコの方がちっちゃくて、可愛いじゃん」 クスクスクスクス……。 「誰がちっちゃいんだよ。気にしてる事を」 「嘘.嘘。でも、可愛いのは、本当だよ」 慌てる俺にマコは笑い出し、大将も俺達の一連の流れを見て笑い出す。 「マコちゃん。取り敢えず、座ったら」 先付の小鉢.ビ-ルを出し 「さおちゃん達が来たら料理出すから、それまでそれで飲んでな」 「はい。大将、昨年は美味しい料理ありがとうございます。今年も宜しくお願いします」 「マコちゃん、こちらこそ宜しく頼むよ。マコちゃん達が来るのを楽しみにしてるんだからね」 2人の新年の挨拶が終わった所で、マコと軽く乾杯して飲み始める。 それから間も無く「ごめんね。遅れちゃった」 「すみません」沙織さんと矢島さんが揃って店に入って来た。 「ヨシ君、マコちゃん、大将。今年も宜しくお願いします」 「昨年は、お世話になりました。今年も沙織さんと仲良くして下さい」 沙織さんに続き矢島さんが、新年の挨拶をする。 「もう、大ちゃんったら」 矢島さんの腕に手を掛け、喜ぶ沙織さんが恋する乙女って感じで、可愛いらしかった。 俺達も挨拶し終え、大将が「さおちゃん.矢島君、今年も宜しく。今年は、結婚もあるかな?」 「どうですかねぇ~。年末と新年のご挨拶は、沙織さんの所に行って来て、温かく迎えられましたが、まだ、結婚の話は、ご両親からは、されてません」 「まあ、焦る事は無いわよ。先に会社を軌道に乗せて安定させないとね。順調にいってる今が正念場でもあるし」 「この通り、尻に敷かれてます」 矢島さんの言い草が面白く、皆んなで大爆笑した。 沙織さんは幸せそうに笑っていた。 順調に進んでる2人を見て、俺も嬉しくなった。 カウンタ-からテ-ブル席に移り、4人揃った所で改めて乾杯し、大将の美味しい料理を食べて飲み始めた。 クリスマスの事を根掘り葉掘り聞かれ、恥ずかしくなり頬が赤くなるのが自分でも解る。 「伊織、喜んでたでしょ?」 「ミキ、綺麗だったもん」 「写メ見せて貰ったけど。成宮さんの前で言うと怒られるけど、マジ、綺麗で一瞬息が止まりました」 「矢島君まで揶揄ってぇ~。でも、お陰で人の目も気にせずに居られました」 自分の事を解って無いなって目で、3人が見てた事は解らなかった。 もう、これ以上は追求して欲しく無いと話を晒すように「忘れない内に」と京都土産を、沙織さんと大将に手渡した。 「定番の八ツ橋ですけど、伊織さんと俺からです、どうぞ。マコ達の分は、帰り荷物になると思って、伊織さんが祐さんに渡してるからね。帰ってから2人で食べて」 「ヨシ君、私にもありがとう」 大将も嬉しそうに受け取ってくれた。 「お土産ありがとう。まあ、京都に行ったの?どこに行ったの?どこかおススメスポットは?」 矢継ぎ早に質問する沙織さんに、タジタジになりながら巡った場所と感想を話していたら、LINEが届いた。 「伊織さん、今から来るって。電車に乗ってるそうです」 「え~、伊織来るの~。ヨシ君と遊べ無いじゃない」 「まぁ、まぁ」 「だって~、大ちゃん。伊織ったら、ヨシ君の事直ぐに独占したがるんだもん」 「ヨシ君は、元々、成宮さんのですから」 「沙織さん、じゃあ、僕と話しましょう」 「マコちゃん、良い子ね」 皆んなで沙織さんを宥めて、マコの頭を撫でご機嫌が戻った様だ。 「良いなぁ。京都旅行、羨ましい」 「マコは、どこかに行ったの?沙織さん達は?」 「祐さん、31~3日まで休みだったから。買物とかドライブがてら祐さんが気になってたお店に行って、料理食べに行ったりとDVD借りて見たりしたけど、近場で良いから1泊旅行お強請りすれば良かったかなぁ」 「私達はお互いの家に挨拶行ったり、大学時代の友達と会ったりしたわよ。買物も行ったね。大ちゃん」 「はい」 「ねえ、ミキ。今度、4人で近場に1泊旅行しない?」 「いいわねぇ~。マコちゃん。私達も行きたいわ」 「沙織さん。男5人の中に女性1人はだめです。幾ら、俺が居てもダメです」 「やあねぇ~、大ちゃん。ヨシ君とマコちゃんなら、混浴も出来ちゃうから大丈夫よ」 「だめ.だめです。混浴なんて以ての外です。沙織さん忘れてるかも知れませが、ヨシ君もマコちゃんも男ですからね。万が一にでも間違えでも有ったら困ります」 「そう言えばそうね。ヨシ君もマコちゃんも男だったわねぇ~。忘れてたわ。だってぇ~、一緒に居ても違和感無いんですもの~」 ワイワイ騒いで居たところにガラガラガラ…… そこには、伊織さんの姿があった。

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