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第262話

「ミキ、起きろ」 「ん~、まだ眠い」 「眠いのは解るが、起きてシャワ-浴びろ」 掛布団から顔を出し、目を擦る仕草が子供みたいで可愛い。 「ん、おはようございます」 「おはよ。明日から仕事だ。今日は少し早めに起きて生活リズム取り返さないとな。明日から起きれなくなるぞ」 顔を近づけ覗き込みと、首に手が回り引っ張っられた 「おはよ。伊織さん」 チュッ。 おはようのキス。 首に巻き付けたまま体を起こし、自然とミキの体も起き上がる。 「朝食の用意は出来てる。シャワ-浴びて来い」 「ん、ありがと」 チュッ。 お礼のキス。 首から手が離れ体も離れ、浴室に向かうミキの後ろ姿を見ていた。 朝から可愛い事をする。 天然か? リビングでテ-ブルに着き、ミキが出て来るまで新聞を見て待ってる。 「わっ、本当に出来てるぅ」 バサッと新聞を折り畳み 「言っただろう。と言っても、スクランブルエッグとト-ストだけどな」 「でも、嬉しいです。いただきます」 「いただきます」 美味しそうにパンに齧り付くミキを見て、毎日こんな朝だったら……と思った。 「そうだ、正月休みも今日で最後だが、どこか行きたい所あるか?」 「う~ん、特に無いかな」 「じゃあ、今日位は、明日に備えてゆっくりするか。DVDでも借りて部屋で見るか?」 「じゃあ、ス-パ-に寄ってもいい?」 「食べて少し経ったら、出掛けよう」 「はい。何のDVD借りようかなぁ」 今日は部屋で、まったりとする事に決定した。 部屋を出てDVDを借りる為に歩いている。 「伊織さん、何のDVD借りるの?」 「店で見てから決めるかな、ミキは見たいのはあるのか?」 「直ぐには、思い浮かばないけど」 「じゃあ、お互い1本ずつ借りて、部屋で見るまでは、何借りたか秘密にするか」 「いいね。楽しそう。あっ、伊織さん、AVとかは止めてくださいね」 「バレたか?」 「もう、恥ずかしくも無く、良く借りられますね」 「嘘.嘘だ。借りる訳無いだろうが。だが、ミキがどうしても見たいって言うなら、代わりに借りてもやってもいいが、どうする?」 「いりません!」 顔を赤くし、ムキになってる所が可愛い。 くっくっくっくっ…… 「あ~、また、揶揄ったんですね~。んもう、伊織さんのばかぁ~」 「怒るなって、ついつい可愛くってな」 くっくっくっくっ…… 「んもう、知らない!」 本気で怒ってるわけじゃないのは解ってるが、先にどんどん歩きだすミキを笑いながら追いかける。 店内で分かれ、それぞれDVDを見て回る。 アクション.アニメ.お笑い.ファンタジ-.ミステリ-.ホラ-と順に見て歩く。 時折、ミキと会ったりしたが、ミキもまだ決め兼ねてるようで、手には何も持ってなかった。 一回りし、見損なったアクションものにするか?いやミキはアクションものかファンタジ-にする可能性がある、同じものは避けた方が良いな。 やはり、ミステリ-かホラ-だな。 ホラ-を見て、ミキがしがみついてくるのも可愛いなと邪念を持ちながら、ホラ-のコ-ナ-に行く。 ゾンビ系は大丈夫なんだよなぁ、京都のお化け屋敷で怖がってたから、やはり日本のものがいいかと選ぶ。 何点か、俺でさえヤバいと思う程、怖そうなDVDがあったが、ミキの前で震えるわけにはいかないしと考え直し、目星だけつけミステリ-コ-ナ-に行く。 内容を確認しながら、次々と手に取り見て歩く。 「これが、いいな」 1本の DVDを手に取り、ニヤニヤ顔でカウンタ-に借りに行く。 俺は借り終わり、カウンタ-で待っていると、ミキも1本の DVDを手に持ち近づいて来た。 「伊織さん、決めました?俺は決めましたよ」 「俺はもう借りたから、ミキ、このカ-ドで借りればいい。俺は出入口で待ってるから」 ミキのDVDを見ないようにカ-ドを渡し、その場から立ち去り遠目でミキが借りてる姿を見て、楽しくなりそうだとニヤニヤ顔で見ていた。

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