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第263話

お互いの DVDを借り終わり店を出て 「伊織さん、何を借りたんですか?」 「今、言ったら面白く無いだろう?何借りたかは、秘密だ。AVじゃ無い事は、確かだ」 「楽しみ~。こう言うのって、趣味が解りますよね」 「そうだな。ま、 DVDは後の楽しみにして、少し他の店も見てス-パ-まで行くか」 「はい」 それからス-パ-まで行く道すがら、雑貨屋を覗いて見たり豆腐屋や焼き鳥屋を発見して「湯豆腐を今度しましょう」「こんな近くにあるなら、今度歩いて食べに来ましょう」と新しい発見に目をキラキラさせていた ス-パ-の前で「部屋に着いたら、寒かったし鍋作ってくれ。夕飯は、その鍋で雑炊にしょう。この間作ってくれたのが旨かった」 「夕飯は、鍋にしようと思ってたけど昼にしますね。チゲ鍋も美味しいけど、明日仕事だから今度休みにしましょうね。今日は、あっさり鍋にします?」 「チゲも旨そうたが、今度の楽しみに取って置こう。鍋は、ミキに任せる」 昼飯と夕飯の献立が決まると、ミキはス-パ-でいつも通り手際良く籠に入れ精算も済ませる。 荷物を持ちマンションまで歩いて行く。 新婚夫婦みたいだな、1人で考え顔が緩む。 部屋に着くと買ってきた食材を冷蔵庫に入れ、 「少しだけ、待ってて下さい」 エプロンを着け、キッチンから声がする。 ソファに座っていたが思い経って 「ミキ、書斎にいるから出来たら呼んでくれ」 「解りました」 書斎で、明日からの仕事の準備をする事にした。 これも、この後ミキとゆっくり過ごす為だ。 30~40分程経った頃に、ドアがトントンと叩かれ カチャッと開き、ミキが顔を覗かせた。 「伊織さん、出来ましたけど?食べられそうですか?」 「大丈夫だ」 書斎を出ると良い匂いがした。 「良い匂いだ」と呟き、リビングのテ-ブルに着くと、目の前に湯気が立ち上る鍋があった。 直ぐに、ミキは鍋をよそってくれ、差し出された器には鶏肉.人参.長ネギ.しめじ.水菜.これは何だ? 解らない食材を、箸に取り聞いてみる。 「ミキ、これは?」 「それですか、餃子の皮です。餃子を包む時に使う皮だけス-パ-に売ってるんですよ。安いしワンタンみたいな感じで煮込むと、トロトロして美味しいですよ。ポン酢で食べて下さいね」 恐る恐る食べると、確かにワンタンみたいなうどんの平たくしたみたいな感じで旨かった。 「ん、旨い。へえ、初めて食べたが旨いな」 「でしょ.でしょ。使い切れなかった時に、鍋に入れて見たら凄く美味しかったんですよ。水菜もシャキシャキしてる内に食べて」 水菜を口に入れ 「ん、本当だな。シャキ.シャキとして旨い」 「でしょ.でしょ。やっぱり冬は鍋だよね。1人だと食べれ無いから、たまにマコと食べるんだけど、今年は伊織さんと色んな鍋を一緒に食べられるから嬉しい~」 「そうか、じゃあ、今年は色んな鍋を制覇していくか?」 「うん。レパ-トリ-は余り無いから、レシピをスマホで探して美味しそうなもの頑張って作りますね」 「余り、無理するなよ。俺はミキの料理食べられるだけで十分だから」 「そんな事言われたら、張り切っちゃう」 「程々にな。今年の冬は、太るかもしれ無いなぁ」 「鍋は、野菜たっぷりだから大丈夫ですよ」 「それでも気をつけ無いとな。デブになって、ミキに嫌われたら敵わん」 「伊織さんなら、太ってもハゲても嫌いになりません外見だけじゃ無く、内面も大好きですから」 料理上手なミキと一緒に暮らしたら、太っていくかもな、幸せ太りか?なんて、頭で考えていたら、ミキの嬉しい言葉に上機嫌になる。 「こら、ミキ。太る事は、もしかしてあるかも知れんが、ハゲは無いぞ」 「解りませんよぉ~。男性ホルモンが強い人は、ハゲるって言うから」 クスクスクスクス…… 「……確かに。だが、俺の男性ホルモンは、ミキだけに反応するだけだから……大丈夫だろ?」 「少し、控えます?」 クスクスクス…… 「いや、誰彼構わずシテルそこらの奴とは違う。俺の男性ホルモンは、ミキに反応し精液もミキだけに注ぐから、控えるのは無理だな。俺の体が、誰でも無いミキだけを欲してる」 「伊織さん……」 「一層、ハゲるくらいやるのも良いな」 くっくっくっくっ…… 「んもう、食卓で話す話じゃ無いですね」 クスクスクスクス…… 温かい鍋とミキとの楽しい会話で食事も進む。 ああ、早く一緒に暮らしたい。

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