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第264話
旨かった昼飯も終わり、片付けを済ましたミキが、コ-ヒ-を2つテ-ブルに置き、俺が座ってる前に自然と座る
背後から抱きしめ
「お疲れ。旨かった」
「そう言ってもらえると嬉しいです」
「 DVDでも見て、ゆっくりするか」
「はい。伊織さんのから見る?俺のから?」
「ミキのからでいい」
俺から離れ DVDをセットし、また、俺の腕の中に納まる。
「ミキの借りてきたのは、何だ?」
「何だと思います」
「ん~、アクションものか.ファンタジ-と思ってたんだが……違うか?」
「さて、何でしょね~」
テレビ画面から、少し前に話題になっていたファンタジ-の題名が流れていた。
「前に話題になってて、見たかったんですよ」
「俺も気になってたから、丁度良い」
ミキが借りてきた DVDは、普通の少年が迷い込んだ世界で、古い鍵を魔法使いに渡され、それを届けなければ世界が終わると言われ、半信半疑だが旅に出て、仲間を作り共に鍵を奪う見えない敵と戦いながら、逞しくなり仲間との絆を強くしていく物語だった。
何となくミキらしい作品だと思っていた。
中盤から物語は、展開が早くなりキャラが濃い仲間が増え、戦いも多くなりどんどん引き込まれていく。
ミキも時折俺の腕を強く掴んだり小さく声を出したりと見入っていた。
そんなミキの姿が、可愛いなと見ていた。
俺も時には笑い、戦う主人公が知恵を絞り仲間との信頼関係で逞しく育っていく姿を見ていく内に、面白くなり引き込まれていった。
画面には、エンドロ-ルが流れて映画は終わり、その画面を見ながら「面白かったですね~。途中は、どうなるかと思ったけど、最後の怒涛の攻撃を交わしてる所なんか見所ありましたよね」
興奮気味に話すのが、解る内容だった。
終わってみれば、清々しい爽快感があった。
「久々にファンタジ-見たな。この歳になると友情とか仲間.勇気だとか、小っ恥ずかしいと思ってなかなか見る機会も無かったが、見終わると良いな」
お互い見終わった感想を暫く話し
「さて、今度は、伊織さんが選んだ DVD見よ」
「待ってろ、セットするから」
DVDをセットし定位置に戻り、ミキを抱きしめる。
DVDが流れ題名が出る。
「結構、古い映画?何系?」
「そうだな。ミステリ-系だ」
「良かった~。AVは無いとは思ったけど、ホラ-だったらどうしようと思ってたから。楽しみぃ~」
にこにこと話すが、それも今だけだな。
俺が借りてきた DVDは、官能ミステリ-だからだ。
昔、高校時代に寮生活してる奴の所で、何人かと1度見た事がある昔の映画だ。
過激敵なセックスシ-ンが何度か有り、ダチは興奮してトイレに駆け込んでたりしたくらいだ。
俺は、女のセックスシ-ンは、嘘臭い喘ぎだとは思ったが、シチュエ-ションや男の腰使いや台詞に興奮した。
内容は、心理学者の先生の所に美しい女性が精神的に悩みカウンセリングを受け何度も通いそこから、女が男を誘惑し始め男がだめだと思いながらも女の誘惑と魅力にのめり込んでいくが、男には幸せな家庭があり女と関係を持ちながらも、家では子煩悩な良い夫であったが女が男の奥さんと友達になり、どんどん家庭にまで入り込んで子供達も手懐けていき、男の妻の座を狙い始めると言うミステリ-だ。
1度見ただけで、何となく覚えてると言う感じだった。
スト-リ-は、静かに始まり女の魅力に嵌り始めた主人公の所で「やはり、魅力的な人には、だめだって思っても惹かれていくのは止められ無いんだね」
「心理学者の先生でもそうなんだから、所詮人間なんてそんなもんだろ?どんな魅力的な人が現れたとしても俺はミキ一筋だ。安心しろ」
「俺もです」
イチャイチャしながら見ていくのも楽しい。
中盤からセックスシ-ンが多くなり、ミキも頬を染めながら初めは「凄いですね」と感想を言う余裕もあったが、段々と口数が少なくなり腿をモジモジし出し、尻もモジモジし始めた。
俺の思う通りの展開だが、誤算は密着してる俺のモノに擦れてヤバい。
画面を見ながら時折「ん、すごっ」「はあ~」
「んん……」喘ぎとは違うが、吐息や溜息など小さくつくのが堪らない。
終盤の女と女の闘いは、女特有のドロドロして陰険なものだった。
「女同士だと凄いですね。でも、奥さんも家庭と子供守るのに必死なんですよね。女の人って強い」
変な感心をして見入っていた。
映画は、終わりエンドロ-ルが流れた。
ぐったりと俺に体を預け
「何か、精神的に疲れる映画でしたね。その位真剣に見ちゃったけど」
「派手さは、無かったがな」
「伊織さん、最後ってどう思いました?」
物語の結末は、全ては、男との仲は女の妄想で、女は精神病棟で隔離され、奥さんは家庭を守り、最後は、誤解が解け男との過激なセックスで疲れ安らかな寝顔を見て、男が呟く「お前が1番だ」となんとも意味深な終わり方だった。
本当は、関係があったのか.無かったのかどちらでも見る側が取れるように終わっていた。
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